【イナズマイレブン】氷雪のエクリプス Ⅱ (ページ23)

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第72話ページ23

「こんな馬鹿な…。我々が、ただの人間ごときに……」

信じられない結果を目の前にしてレーゼは呆然と立ち尽くす。歓喜に沸く雷門イレブンとは対照的に、ジェミニストームの面々は俯いたり呆気に取られたりと重い空気に包まれていた。

そこへ夏未がやって来る。彼女に気付いたレーゼが足音のする方を見ると、夏未は「地球にはこんな言葉があるわ」とレーゼがよく口にしていたフレーズを枕詞に口を開いた。

「三度目の正直」

夏未の得意気な表情も相まって、レーゼは強い悔しさに歯を食いしばる。学校を壊され、仲間を散々傷付けられたのだから、これくらいで気を済ませた彼女は優しいなんて言葉では収まらないだろう――去っていく背中を見つめながら、夏未と入れ替わるかたちで如月がやって来た。

『皆、お疲れ様』

優しい声に、ジェミニストームメンバーの視線は夏未の背中から如月へと移る。お日さま園にいた頃と変わらない優しい微笑みを携えた彼女を見て、レーゼは今にも泣き出しそうに顔を歪ませた。

「…、加澄……っ」

少し上擦った声がレーゼの口から溢れる。彼は涙を堪えるように拳を握って「ごめん……ごめんなさい」と絞り出した。

彼が何を謝っているのか、如月は聞かずとも分かっていた。
優しいリュウジのことだから、きっと私が皆に会う度に怯えていたことに気付いていたのだろう――彼の心遣いがじんわりと如月の胸を温める。

怖い思いをさせてごめん。辛い思いをさせてごめん。加澄の気持ちを知りながら父さんに従ってごめん。沢山の“ごめん”がその言葉に込められていた。

『そんな顔しないで。…皆が父さんに付いていった気持ちも分かるから』

少し寂しそうな如月の微笑みに、レーゼの胸が締め付けられる。加澄にこんな顔をさせたかった訳ではないのに――彼は自分の無力を嘆くように俯いた。

そんな彼につられてジェミニストームのメンバーも視線を落とす。沈んだ空気を変えたくて、如月は『あのね』と口を開いた。

『皆には、もうこんなことはやめてほしい……。今度は私達と一緒に、エイリア学園の皆と戦ってくれないかな…?』

突飛な発言に、ジェミニストームのメンバーは言葉も出ずに驚いた顔で如月を見つめる。
『皆のしたことは許されないかもしれないけど、サッカーを好きな気持ちは変わらないでしょ? その気持ちがあれば、きっと円堂君達も分かってくれると思う』真剣に話す如月の姿に、彼らに彼女の気持ちが伝わったようだ。