【イナズマイレブン】氷雪のエクリプス Ⅱ (ページ22)

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第71話ページ22

「「ユニバース…ブラスト!!」」

2人で飛び込むように蹴ったボールは、宇宙を思わせるような紫色のパワーを尾にゴールへ突き進む。塔子も壁山も必殺技を繰り出すがシュートを止めることはできず、ゴールは円堂に託された。

「マジン･ザ･ハンド!!」

突き出す右手にシュートの威力を受け、踏ん張る円堂の足がじりじりと後ろへ押される。しかし彼はここで負けてはいられなかった。
怪我をした仲間達の痛みを、学校を壊された人達の悲しみを、サッカーを破壊の道具にされた怒りを、今ここで終わらせる――円堂の強い気持ちが伝わったのか、背後の魔神もその大きな手に力をこめる。

その瞬間、威力を失ったボールは円堂の右手に収まった。
とうとうエイリア学園のシュートを止めることができた喜びに、木野と音無は「やった!!」とベンチから立ち上がる。夏未も一安心して笑みを溢した。

「いくぞ、反撃だ!!」

円堂の蹴ったボールは如月に繋がれる。行く手を阻もうと前へ現れたグリンゴとイオを華麗に抜き去ると、染岡にボールを渡した。
この試合、絶対に勝つには――染岡は並走する吹雪をちらりと見る。「止めろ!! シュートを打たせるな!!」焦りを滲ませたようにも聞こえる声色のレーゼの指示で、コラルとカロンが染岡の前に躍り出た。

「吹雪!!」

このままでは満足にゴールを狙えない、そう思われたが、染岡は吹雪へパスを出した。「いけ、吹雪!!」力強く声を掛けられ、吹雪は驚きながらもボールを受け取る。染岡の言葉に「おう!!」と返事をした吹雪はボールを両足で挟み込む。

「吹き荒れろ…!! エターナル、ブリザ───ド!!」

技名のままに吹雪を纏ったシュートはゴルレオを吹き飛ばしてゴールを強襲した。氷漬けになったボールとその通り道に残された巨大な氷塊がシュートの威力を物語っている。

「ナイスアシスト」

「…!」

静かにガッツポーズを決めて得点を喜ぶ染岡の後ろを、吹雪はそう言って駆けていった。意表を突かれて染岡は驚いたが、これまで敵対心を燃やしていた相手と僅かに心が通じた気がしてその背中に笑みを溢す。

その時、試合終了のホイッスルが鳴り響いた。円堂が少し遅れて確かめるように「やっ、た…?」と呟く。彼を振り返った如月がゆっくり頷いたので、漸く実感が湧いて「やったぞー!!!」と声を上げた。

彼の声で雷門イレブンは歓声を上げて互いに駆け寄る。固い表情をしていた瞳子も、小さく安堵の息を吐いて微笑んだ。