【イナズマイレブン】氷雪のエクリプス Ⅱ (ページ3)

今日:10 hit、昨日:42 hit、合計:10,040 hit

第52話ページ3

「雷門の新しいストライカー、誕生よ!」

「皆、よろしくね」

皆がふんわりと微笑む吹雪を頼もしそうに見つめていたが、染岡は耐えきれなくなったのか何も言わずに駆け出してしまった。すぐそれに気付いた円堂が「染岡!!」と後を追って走り出す。
彼らの背中を心配そうに見ていた木野も追いかけようか迷っていたが、音無に呼ばれたので、皆と一緒に校舎へ戻ることにした。

＊

翌朝、雷門イレブンは吹雪を加えた新体制での練習を始めるためグラウンドに集まっていた。前日、ジェミニストームから白恋中へ試合の宣告があったこともあり、一同の眼差しは真剣そのものだ。

「そのためにも、今まで以上に特訓して――…あ、よう!!」

吹雪が来たことに気付き、円堂は話を中断して彼に声を掛ける。
雷門イレブンが円堂の向く方を見ると、雷門中のユニフォームに身を包んだ吹雪が立っていた。初めて見る雷門ユニフォーム姿の彼に、荒谷と雪野は「うわ〜! 似合ってるよ、吹雪君!」「かっこいいなあ」と目を輝かせる。

「ありがとう皆。僕もこれで雷門イレブンの1人だ。この白恋中を絶対守ってみせるからね」

「その意気だ!」

円堂に肩を叩かれ、少し驚いた様子の吹雪は「で、どんな練習するの?」と訊ねた。チームを紅白の2つに分け、それぞれ攻守を交代してコンビネーションの練習をするんだ、という円堂の説明に「面白そうだね。いいよ」と吹雪は頷いた。

「吹雪君、あなたにはFWをお願いするわ」

「僕が、FW…」

ストライカーとしての実力を買われてスカウトされた筈だが、昨日のような二つ返事ではないということは何か思うことがあるのだろうか。吹雪の戸惑うような声に如月は疑問を抱く。
瞳子に「不服かしら」と訊かれて「いいや、問題ありません」と返した背中を、染岡は尚も納得のいかない表情で見ていた。

＊

瞳子が高く投げたボールを、鬼道と風丸が奪い合うかたちで練習が始まった。ボールを足元に収めた風丸が疾風ダッシュで鬼道を抜き去ると、彼は「いい動きだ、風丸」と声を掛ける。
ボールを持ったことでオフェンス側となった風丸だが、背後から近付く吹雪にあっという間にボールを奪われてしまった。ベンチの木野は「風丸君をあんな簡単に…」と、吹雪のスピードに驚いた様子だ。

「風丸、なにやってるんだ!! 行くぞ!!」

染岡に言われ、2人は吹雪を追いかける。
「こっちに回せ!」という鬼道の指示も聞かず、吹雪は走り続けた。