【イナズマイレブン】氷雪のエクリプス Ⅱ (ページ19)

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第68話ページ19

「でも、ディフェンスはどうするでやんす?」

「心配するな。皆、奴らの動きに対応できている」

瞳子の指示について考えていた鬼道が栗松に答えた。瞳子の意図を理解したのは鬼道だけではなかったようで、円堂は瞳子に「俺も、もう大丈夫です!」と言う。

「分かったようね?」「ええ」瞳子、円堂、鬼道は意思疎通ができているようだが、3人のやり取りを側から見ていた音無は何のことを話しているのか分からなかった。彼女は鬼道に「どういうこと、お兄ちゃん?」と訊ねる。

「俺達はスピードに対抗する特訓をしたが、実際に奴らのスピードに慣れるには時間がかかる。だから前半は守備の人数を増やしたんだ」

「なるほど! 失点のリスクを減らして…」「奴らのスピードを把握するためか」鬼道の説明で風丸と土門も気付いたようだ。

「それじゃあ、吹雪君をディフェンスに専念させたのは…」

「中盤が突破されたら、あのスピードでなければ防げないからでやんすね!」

瞳子の意図が分かり、音無は「最初から説明してくれればいいのに…」と彼女に視線を送る。しかし、瞳子の表情を見た木野が「でも、自分達で答えを見付ける方が絶対に力になるわ!」とフォローするように言った。円堂も「そうさ! 答えを知りたければ汗をかけばいいんだ!」と木野に同意する。

「吹雪! どんどんゴールを狙っていけ!!」

「うん、やってみるよ」

雷門のエースストライカーはこの俺だ――未だに吹雪のことを素直に受け入れられずにいる染岡は、彼が期待されていることが気に入らずその様子を静かに睨んだ。

＊

「奴らは我々の動きに適応し始めています。それに、向こうにはシアン様もいらっしゃいます。…油断はできません」

「人間め…。我々に対抗しても無意味だと教えてやる……」

後半開始直前、ジェミニストームサイド。パンドラはレーゼに耳打ちした。吹雪と入れ替わるかたちでDFに入った如月には2人の会話は聞こえなかったが、パンドラの視線を感じて表情を引き締める。

「皆いけー!! ゴールを奪うんだ!!」

後半開始のホイッスルが鳴った。円堂の声を背に受け、吹雪や染岡が上がっていく。
吹雪が早々にコラルからボールを奪うと、マフラーに手を掛けた。彼は「俺の出番だ!!」と雄叫びを上げながら猛スピードで上がると、そのままノーマルシュートを放った。

「ブラックホール!!」

しかしボールはゴルレオの手中に消え、ゴールとはならなかった。レーゼは吹雪の背中を静かに見つめる。