【イナズマイレブン】氷雪のエクリプス Ⅱ (ページ14)

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第63話ページ14

翌日、白恋中の上空には禍々しい厚い雲が広がっていた。雪野に抱えられた荒谷が「なに…?」と不安そうに見つめる先には、ジェミニストームのメンバーが立っている。

「待ってたぜ、エイリア学園!! 勝負だ!!」

レーゼを指差して言うと、円堂は持っていたボールを彼へ力強く蹴った。レーゼはそれを片手で受け止めると目を細める。
彼はすぐに如月を見付けると、奈良で会った時とは様子が違うことに気付いた。あの時は怯えて目も合わせようとしなかった彼女が、今は小さく震えながらも確かにこちらを見ている。

「これ以上、サッカーを破壊の道具にはさせない!!」

一体何があったのか――考えようとしたが、円堂の言葉に気を戻した。レーゼは「またお前達か。何故ここにいる」と円堂に訊ねる。
彼の言う通り、雷門イレブンはジェミニストームの行く先々に現れてきた。雷門中、傘美野中、奈良、そして北海道――これで会うのは4回目だ。

「俺達が代わりに戦う!!」

「ふっ、地球人の学習能力は想像以上に低いな…。二度も敗れたのに何故分からないのだ。我々には勝てないと」

レーゼは拳を突き出す円堂を鼻で笑った。しかし塔子は「宇宙人の想像力も大したことないね」とこれに対抗する。

「あたし達がパワーアップしたとは思わないの?」

ウインクをして言った塔子にレーゼは目を細めた。彼は「…いいだろう」と雷門イレブンを見渡す。左手首を掴み悲しそうな表情でこちらを見る如月に、レーゼの心が締め付けられた。
しかし彼はそれに気付かないふりをして続ける。何かを演じることにはもう慣れていた。

「地球にはこんな言葉がある。二度あることは三度あると!」

先程受けたボールを、今度はレーゼが蹴り返す。
円堂はこれを伸ばした右手に収めてみせた。実際にレーゼのシュートを受け止めたことで、以前とは違うことを実感する。同時にこれをジェミニストームにも示したことで、円堂は自信に満ちた表情でレーゼを見た。

『……!』

気を張りつめて2人のやり取りを見ていた如月を、レーゼがちらりと見る。視線がかち合って彼の表情が一瞬だけ普段の柔らかさを取り戻したので、如月は戸惑いを隠せなかった。
どうしてそんな顔をするの? 訊きたい気持ちは山々だが、そんなことはできる筈もない。ベンチへ向かう木野に呼ばれ、如月はハッとして急いでついて行った。

「……」

レーゼは何も言わずにその背中を見つめる。
理事長や総理大臣も見守る中、試合が始まろうといていた。