【イナズマイレブン】氷雪のエクリプス Ⅱ (ページ12)

今日:6 hit、昨日:42 hit、合計:10,036 hit

第61話ページ12

―――つまり、雷門のエースストライカーか決めようってことかな?

―――そう思ってくれていいぜ。

そんな訳で、染岡と吹雪が勝負をすることになった。一同はグラウンドへ移動し、センターサークル内に並んだ2人をピッチの外から見守る。
先にゴールを決めた方の勝ちというルールのもと、円堂の「よーい…、始め!」の合図で勝負が始まった。

2人はすぐにボールを目掛けて駆け出す。先にボールに辿り着いたのは吹雪で、それを見た土門は「やっぱり吹雪が速いな」と呟いた。しかし風丸が「いや…」と目を細める。

「雷門のストライカーを舐めるな!!」

先にボールを取られこそしたが、染岡も吹雪のスピードに翻弄されることなく喰らい付いていた。
「染岡も速い!」「吹雪の動きについていってる…!」白恋中との練習試合の時とは見違える動きに、一之瀬と鬼道が身を乗り出す。染岡と吹雪の足下で繰り広げられる攻防を、壁山と栗松も息を呑んで見守った。

「特訓の成果が出てるってことっスかね…?」

「じゃあ、俺達も速くなってるでやんすか…!?」

2人の勝負から目を離せない塔子が、それを聞いて「なってるなってる! あたし保証する!」と頷く。
僅かな隙をついて染岡がスライディングでボールを奪った。「どうだ!!」と攻め上がる彼の背中を、倒れた吹雪は「やるね…」と見つめてマフラーを握った。その瞬間、如月は彼の雰囲気が変わったのを感じる。

吹雪は瞳にオレンジの色を灯し、すぐに染岡に追い付いた。彼の隣に並ぶと「やるじゃねえか!!」と口角を上げる。

「正直舐めてたぜ。こうじゃなきゃ面白くねえ!!」

吹雪の気配にハッとした染岡は、ボールを奪われまいと先にゴールへ向かって蹴った。しかしシュートはクロスバーに当たってゴールから外れた。

「貰ったあ!!」弾かれたボールを吹雪がすかさず奪う。染岡もすぐに「行かせねえぞ…!」と立ち向かうが、吹雪の目は染岡の後ろにいるリスを捉えた。チチチ…と鳴くリスに気を取られた吹雪は、染岡にその隙をつかれてしまう。

「…!」

「貰った!!」

ボールを奪った染岡は、ゴールに力強く蹴り込んだ。
「見たか、吹雪!!」染岡に言われて呆気にとられる彼の瞳は、いつもの色に戻っている。一度は考えることをやめたが、やはり如月は吹雪の雰囲気が変わることが気になっていた。

彼女が考えに耽っていることに気付く筈もなく、雷門イレブンは染岡のもとへ集まる。皆は彼の成長を口々に喜んでいた。