第8話 ページ9
「入れてよかったっス〜」
キャラバンに揺られること数時間。雷門イレブンは奈良シカ公園に来ていた。
壁山が安堵の息を漏らしたのは、先程まで公園に入れなかったから。それもその筈、今日ここでエイリア学園の襲撃があり総理大臣が誘拐されたのだから、ただの中学生が簡単に入れる訳がなかった。
しかし、夏未が雷門理事長に電話をかけると、警察に話を通してくれたのかあっさりと公園へ入ることが許可された。
「…はい、ありがとうございます。助かりました、理事長」
夏未は電話の相手である雷門理事長にお礼を伝える。それを隣で見ていた土門は「どんだけ顔が広いんだよ、理事長って…」と両手の平を上に向けて笑った。たしかに、警察に顔が利く中学校の理事長とは相当のものだ。
事件現場となった広場に着いた雷門イレブンは辺りを見渡す。
ニュースで映っていた巨鹿像は勿論、建物の屋根や橋なども破壊されており、一同は顔を顰めた。如月にも思うところがあるようで、左手首を握って悲しそうに顔を歪める。
どうして皆がこんなことをしなければならないのか。如月は今日で何度この理不尽に憤りを感じたことだろう。何もできないことが悔しく、その度にエイリア学園から逃げるように去った自分を憎んだ。
「こりゃ酷いな…」
「ちくしょう、エイリア学園め…」
『……』
「よし、必ず奴らの手掛かりを掴むぞ!」
「「おう!!」」
円堂の呼び掛けで各々は手掛かりを求めて周辺へ駆け出す。
夏未、瞳子、如月の3人はその場に留まっていた。夏未は首の折れた巨鹿像を見つめて「総理大臣を狙うなんて、目的は何なのかしら」と呟く。瞳子は顎に手をあて真剣な面持ちで何かを考えているようだった。
「加澄さんはどう思う? …加澄さん?」
『…あ、ごめんね、ちょっと考え事してた』
夏未に名前を呼ばれて我に返った如月は『どうしたの?』と訊ね返す。夏未は再び「エイリア学園が総理大臣を狙った目的、加澄さんは何だと思う?」と訊いた。如月は『そうだね…』と暫く考えた後に答える。
『総理大臣に、彼らのしようとしていることへの協力…もしくは同意を求めているんじゃないかな』
「協力?」
『うん。でも総理大臣が賛同するとは思えないから、反対されたことを口実に活動を続けるつもりなのかも――』
「あったっスー!!」
「…! 壁山君だわ」
『行ってみよう』
話の途中で壁山の声が飛んでくる。
2人は目を見合わせて頷くと、声の聞こえた方へ向かった。
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一森(プロフ) - bizyuさん» コメントありがとうございます! そのように言っていただけて嬉しいです…! 更新頑張ります(^^) (12月25日 2時) (
レス) id: a9a946d0de (このIDを非表示/違反報告)
bizyu(プロフ) - とても面白くて一気読みしてしまいました！これからも一森さんご自身のペースで頑張って下さい(◍•ᴗ•◍) (12月24日 17時) (レス) id: 529a911b17 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：一森 | 作成日時：2023年9月16日 3時
