第6話 ページ7
「…加澄」
如月は不意に名前を呼ばれてハッとする。
声の聞こえた方に顔を向けると、そこには不安そうな顔をした瞳子が立っていた。
『どうしたの?』
「もうすぐ皆が戻って来るわ。…奈良でエイリア学園の襲撃があったの」
『…そっか』
如月の気持ちを考えてか、瞳子の二言目は小さかった。如月は一瞬驚いた様子を見せたが、すぐにいつもの穏やかな顔に戻って頷くと瞳子に微笑む。
『きっと大丈夫。行こう、姉さん』
＊
地下に集合した雷門イレブン達は、エイリア学園襲撃についての速報をモニターで見ていた。
つい最近奈良シカ公園で披露されたばかりの鹿の像は、無惨にも首から上が折られてなくなった状態で映されている。ニュースキャスターによると、現場で雷門中を破壊した時と同じ黒いサッカーボールが見付かったらしい。
「更に最新情報だ。エイリア学園は財前総理を連れ去っている」
「「ええっ!?」」
中学校の破壊のみならず総理大臣の誘拐まで行っていることに、一同は驚きを露わにする。そこへ、先程まで姿のなかった豪炎寺が戻って来た。彼は「遅れてすまない」と一言告げると、一之瀬の隣に立って瞳子に軽く頭を下げた。それを見た雷門理事長は「揃ったな、諸君」と説明を続ける。
「情報によれば、総理は謎の集団に連れ去られたという。この謎の集団は、エイリア学園と関係があるようだ」
「!!」
『…?』
思い当たることがあるのだろうか、豪炎寺は目を見開いた。瞳子の隣にいた如月はその様子を見て疑問に思うが、雷門イレブンの前へ一歩出た瞳子の背中で隠れてしまった。
「出発よ。エイリア学園とすぐに戦うことになるかもしれないわ」
「瞳子君、円堂君達を頼む。情報は随時イナズマキャラバンに転送する」
「お願いします」
「イナズマキャラバン?」
瞳子の言葉に、如月は左手首を強く掴む。エイリア学園と戦う――彼らとの再会が近付いていることが不安で仕方なかった。裏切り者だと言われるのは当然の覚悟で雷門へ来たはずだったが、心の準備はできていないようだ。
そんな如月を他所に、雷門イレブンはイナズマキャラバンなるものがある部屋へ移動を始める。一同の中に如月がいないことに気付いた瞳子は、振り返って声を掛けた。
「行きましょう」
『あ、うん…』
如月は俯いていた顔を上げると、なんでもないように微笑んで歩き出す。瞳子の負担になりたくないという気持ちが伝わるからこそ、彼女に掛ける言葉が見付からなかった。
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一森(プロフ) - bizyuさん» コメントありがとうございます! そのように言っていただけて嬉しいです…! 更新頑張ります(^^) (12月25日 2時) (
レス) id: a9a946d0de (このIDを非表示/違反報告)
bizyu(プロフ) - とても面白くて一気読みしてしまいました！これからも一森さんご自身のペースで頑張って下さい(◍•ᴗ•◍) (12月24日 17時) (レス) id: 529a911b17 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：一森 | 作成日時：2023年9月16日 3時
