第49話 ページ50
突如、吹雪の周囲を雪が吹き荒れる。染岡のスライディングの威力は相殺されるどころか却って弾き飛ばされてしまった。
『染岡君!』
如月は自身のすぐ側まで飛んで来た染岡を心配する。しかし並々ならぬ存在感にハッとしてすぐにまた吹雪の方を見た。彼を囲むように吹き荒れていた雪が止んでいき、徐々に吹雪の姿が露わになる。
「…この程度かよ? 甘っちょろい奴らだ」
彼の瞳は何色だったか、はっきりとは覚えていないが、オレンジ色ではなかった筈だ。それに何より、あの特徴的なたれ目がつり目になっている。顔付きも言葉遣いも、これまでとは別人だった。
吹雪の豹変に気付いたのは如月だけではない。ベンチのマネージャーでさえその様子に驚きを隠せず、音無のビデオカメラを持つ手に力がこもる。
「任せとけ! いつもみてえにバンバン点取ってやっからよ!!」
「見てな!!」そう言って吹雪は猛スピードで駆け出した。一之瀬のショルダーチャージも、鬼道と風丸2人がかりのスライディングもパワーで突破していく。土門のキラースライドを簡単に躱し、あっという間に吹雪はゴール前まで来ていた。
「吹き荒れろ……。エターナル、ブリザ───ドｯ!!」
両足で挟み込んで回転を掛けたボールは、氷と冷気を纏って上空へ上がっていく。身を翻しながら蹴り込んだボールは、ゴールへ向かって突き進んだ。
「ゴッドハンド!!」
円堂の右手から繰り出された神々しい手は、ボールの触れた部分から凍ってしまった。それを確信していたのか、吹雪がにやりと笑ったのを合図にゴッドハンドは砕け散る。先制点を決めたは白恋中だった。
「ゴッドハンドが、こんな簡単に…」
「これが“ブリザードの吹雪”…」
エターナルブリザードの威力に、木野と夏未は思わず言葉を溢す。階段で自身を受け止めてくれた時の吹雪からは想像がつかないような激しい威力のシュートに、音無は息を呑んだ。
「いいか、よく聞け。俺がエースストライカー、吹雪士郎だ」
「止めたと思ったのに」驚いている円堂に構わず吹雪は円堂を振り返る。しかし円堂は流石サッカーバカといったところか、ゴッドハンドが破られたことなど気にもせず嬉しそうに笑った。
「吹雪! お前のシュート、どうしても止めたくなった!」
「できるもんならやってみな」
吐き捨てるように言うと、吹雪は自陣に戻っていく。あいつが仲間になってくれたら、円堂は希望に満ちた目でその背中を見つめていた。
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一森(プロフ) - bizyuさん» コメントありがとうございます! そのように言っていただけて嬉しいです…! 更新頑張ります(^^) (12月25日 2時) (
レス) id: a9a946d0de (このIDを非表示/違反報告)
bizyu(プロフ) - とても面白くて一気読みしてしまいました！これからも一森さんご自身のペースで頑張って下さい(◍•ᴗ•◍) (12月24日 17時) (レス) id: 529a911b17 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：一森 | 作成日時：2023年9月16日 3時
