第48話 ページ49
「吹雪はFWじゃなかったのか?」
「FWだよ、吹雪君は」
ストライカーと聞いていたものだから、反対の役割とも言えるDFのポジションにいれば不思議に思うのも無理はない。鬼道の疑問に喜多海が答えると、染岡は「じゃああれはなんだ!?」と奥にいる吹雪を指差した。
「今はまだDFなんだ」
「どういうことだ!!」
今はまだ、とはどういうことなのだろうか。吹雪を見る如月の目は懐疑的だがどこにも答えは見当たらない。喜多海の言葉に謎が深まったまま、如月のキックオフで試合が始まった。
「彼の動き、漏らさず撮ってね」
「はい!」
雷門ベンチから音無の持つビデオカメラが吹雪の姿を捉える。
豪炎寺の代わりになろうというのにDFであることが気に食わないのか、豪炎寺のような凄みが感じられない点に買い被られていると思っているのか、染岡の吹雪への敵対心は剥き出しだ。
彼以外の白恋中の選手には目もくれず、染岡は強引に荒谷と氷上を突破した。
「そういう強引なプレー、嫌いじゃないよ」
向かってくる染岡の気迫に怯むどころか、吹雪は笑顔を見せる。染岡の前へ駆け出すと、フィギュアスケートのように回転しながら華麗に飛んだ。
「アイスグランド!」
着地した左足から伝わるように地面が凍っていき、その先にいた染岡は完全に氷の中に閉じ込められてしまった。染岡から離れたボールを胸元でトラップすると、吹雪の背後を雪が吹いていく。
ボールは吹雪の足下に収まっており、流れるような淀みのないプレーに円堂は「すごい!」と漏らした。
吹雪は前線の喜多海へパスを出す。しかし喜多海が受けたボールはあっさり風丸に奪われてしまった。
染岡に気迫で突破された荒谷と氷上や喜多海のボールキープ力を見る限り、吹雪以外の選手の実力はそれ程高くないようだ。推測しながら風丸は染岡へボールを渡す。吹雪はすかさずゴールで構える函田の前に躍り出た。
「ドラゴン、クラッシュ!!」
防げるものなら防いでみやがれ――染岡が蹴り込んだボールは咆哮する竜と共にゴールへ向かう。しかし、吹雪はくるりと回ってこれを軽々と止めてしまった。
「そうか! 吹雪はFWじゃなくて、すごいDFだったんだ!!」
円堂は嬉しそうに拳を握った。
自身のシュートを簡単に止められてしまい、どこまでも気に入らない染岡は感情のままにスライディングを仕掛ける。吹雪はそれを避けようともせず、マフラーを掴んだ。
「……出番だよ」
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一森(プロフ) - bizyuさん» コメントありがとうございます! そのように言っていただけて嬉しいです…! 更新頑張ります(^^) (12月25日 2時) (
レス) id: a9a946d0de (このIDを非表示/違反報告)
bizyu(プロフ) - とても面白くて一気読みしてしまいました！これからも一森さんご自身のペースで頑張って下さい(◍•ᴗ•◍) (12月24日 17時) (レス) id: 529a911b17 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：一森 | 作成日時：2023年9月16日 3時
