第47話 ページ48
白恋中だけの問題ではない、と瞳子は話す。彼女の「これ以上エイリア学園の勝手にさせる訳にはいかない」という言葉に如月も強く頷いた。
そうだ、もうリュウジ達にこんなことをしてほしくない。皆が破壊行為を繰り返すところなんてもう見たくない。如月は左手首を握り締める。
「俺達は、奴らを倒すために地上最強のサッカーチームを作ろうとしているんだ。だから吹雪、お前に会いに来たんだぜ!」
「地上最強のサッカーチーム…」
円堂の言葉に心が揺れ動いたのか、吹雪は何かを考えるように俯いて反芻した。
もう一押しだ、そう感じた如月は瞳子に目配せする。それを受けて瞳子は「あなたの噂を聞いたわ」と口を開いた。
「噂の実力の持ち主なら、私達と一緒に戦ってほしい。あなたのプレー、見せてくれる?」
吹雪は一度目を閉じる。暫くして目を開けたその表情には、決心の色が宿っているように見えた。
彼は焼き上がった餅を円堂に差し出す。丸く膨らんだ部分はサッカーボールに見立てて五角形の海苔が飾り付けられており、円堂はそれを「いただきます」と受け取った。
「いいですよ」
＊
吹雪が承諾したことで、一同は彼の実力を見るためグラウンドに来ていた。今回は試合の勝敗に意味がないので、作戦は特になく好きにしていいと瞳子が告げる。
「吹雪さんって、すごいストライカーって感じが全くしませんよね」
相手ベンチでチームの皆に声を掛ける吹雪を見て、音無がふとそう溢した。それを聞いた夏未が「えっ?」と音無を見る。
「豪炎寺さんって、いるだけでなんか点を取ってくれそうな雰囲気あったじゃないですか」
「そうね。豪炎寺君に比べたら、彼には凄みを感じないわね」
自身のポジションへ向かう如月は、2人の会話を耳に挟んで涼野や南雲のことを思い出した。
豪炎寺君とは一度しか一緒に試合に出たことがないために想像がつきにくいが、たしかにあの2人にも背番号10を背負うだけあって、雷門さんの言う“凄み”があるかもしれない。いや、2人の場合はただの負けず嫌いかも…?
とりとめのないことを考えながらセンターマークの位置まで来る。今回の如月のポジションはFWだ。
「あの野郎、ディフェンスにいる!!」
『あれ、本当だ…』
如月は隣に立つ染岡の声でハッとした。相手側のフィールドを見ると、染岡の言う通り吹雪はDFの位置に立っている。笑顔を携えて試合開始を待つ彼の様子に、雷門イレブンは驚きを隠せずにいた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 73人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
一森(プロフ) - bizyuさん» コメントありがとうございます! そのように言っていただけて嬉しいです…! 更新頑張ります(^^) (12月25日 2時) (
レス) id: a9a946d0de (このIDを非表示/違反報告)
bizyu(プロフ) - とても面白くて一気読みしてしまいました！これからも一森さんご自身のペースで頑張って下さい(◍•ᴗ•◍) (12月24日 17時) (レス) id: 529a911b17 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：一森 | 作成日時：2023年9月16日 3時
