第46話 ページ47
吹雪はハッと音のする方を見上げた。その大きな音に、如月も恐怖で体が硬直する。雷門イレブンは2人に気付く筈もなく、雪が落ちていく様子に気を取られていた。
「びっくりした…。でもすごい勢いだな。雪国ならではか……」
雪の動きが止まり、その音に掻き消されていた吹雪の怯える声が聞こえてくる。それに気付いた円堂が彼のいる方へ視線を向けると、そこにはしゃがみ込んで震える吹雪の姿があった。
彼の近くにいた音無と夏未は、驚いた様子でそれを見つめる。
「大丈夫だよ、吹雪君。屋根の雪が落ちただけだから」
「や、屋根から…?」
荒谷に優しく背中を撫でられ、吹雪はゆっくりと顔を上げる。彼女の言葉を確かめるように校舎の屋根を見上げると、たしかに一部雪のない箇所があった。
「なんだ、屋根の雪か…」
小さくそう言うと、吹雪は安堵の息を漏らした。瞳子に声を掛けられて落ち着いた如月も、自分に言い聞かせるように荒谷の言葉を心の中で反芻する。
「なんだ? どうかしたのか?」
「ああいや、何でもないよ」
円堂に訊かれ、吹雪は普段の声色で返した。
「これくらいのことでそんなに驚くなんて、意外と小心者ね」夏未に言われ、吹雪は誤魔化すように「あはははは…」と笑って再び階段を下り始める。
「さあ、行こう」
瞳子は彼が平然を装おうとしているのを見抜いていたのか、懐疑的な目で吹雪の背中を見つめた。
＊
「私達は、エイリア学園を倒すために仲間を集めているの」
「仲間を?」
校庭に着き、瞳子はかまくらの中で吹雪に話を切り出した。
外では雷門イレブンと白恋イレブンが混合で2チームに分かれて雪合戦をしたり、壁山と目金が雷門イレブンの雪だるまを作って一汗かいたりと、それぞれ楽しんでいる。
「音無さん」
瞳子に呼ばれ、返事をした音無は持っていたパソコンの画面を吹雪に見せる。エイリア学園によって破壊された学校の画像が何枚か映し出された。
「数日前から、エイリア学園はこの北海道で中学校を破壊しているわ」
「でも、うちは大丈夫さ。狙われる訳がないよ」
吹雪は切り餅を網の上に並べる。想定外の反応にどんな秘策があるのかと吹雪を見るが、彼の口から出てきたのは「やっとサッカー部として活動ができてる弱小チームなんだから」という理由で如月は肩を落とした。
チームメイトの隣で自分のチームを弱小呼ばわりするなんて、見た目にそぐわず歯に衣着せぬ物言いをするんだな――如月は吹雪を見直した。
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一森(プロフ) - bizyuさん» コメントありがとうございます! そのように言っていただけて嬉しいです…! 更新頑張ります(^^) (12月25日 2時) (
レス) id: a9a946d0de (このIDを非表示/違反報告)
bizyu(プロフ) - とても面白くて一気読みしてしまいました！これからも一森さんご自身のペースで頑張って下さい(◍•ᴗ•◍) (12月24日 17時) (レス) id: 529a911b17 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：一森 | 作成日時：2023年9月16日 3時
