第45話 ページ46
「あれ? 君達…!」
「さっきの…! 吹雪士郎って、お前だったのか?」
予想だにしなかった展開に、如月は目をぱちくりさせた。円堂に訊かれて頷いた吹雪に、染岡が「お前が熊殺しか!?」と迫る。
彼の強面に怯みもせず、吹雪は申し訳なさそうに笑って「ああ、実物見てがっかりさせちゃったかな…? 噂を聞いて来た人達は皆、僕を大男だと思っちゃうみたいで…」と頭を掻いた。その柔らかい雰囲気は豪炎寺とはまるで正反対で、染岡は呆気にとられてしまう。
「これが本当の吹雪士郎なんだ。よろしく」
吹雪は笑顔で手を差し出した。しかし染岡はそれを無視して教室を出て行く。
「染岡!」円堂の呼び止める声も聞かない彼を追って、木野が「私に任せて!」と教室を飛び出した。吹雪は拒まれた右手で虚空を握ると「あれ、なんか怒らせちゃったかな…」とその手を見つめる。
「ごめん! 染岡は、本当はいい奴なんだ」
「気にしないで」
染岡というのは、さっきの彼のことか――そんなことを考えて廊下の方を見た。吹雪は円堂に向き直ると、咎めることもなく優しく微笑む。そこへ瞳子が「吹雪君」と声を掛けた。
「少し時間いいかしら」
「ええ。……ええっと…」
「私は吉良瞳子。雷門中サッカー部の監督よ」
響木が雷門中サッカー部の監督であることを知っていたからか、吹雪は彼女のことを誰だろうかとぼんやり見つめる。彼は瞳子の自己紹介を受けて「雷門中サッカー部の…?」と首を傾げた。
＊
吹雪と話をして彼の実力を確かめるため、一同は校庭に向かっていた。長い階段を下りながら、目金は寒さに自身の体を摩る。震える彼に「おらのマフラー貸してやろうか?」と雪野が言うが、マフラーにはかんだばかりの鼻水が付いており、目金は顔を引き攣らせてそれを断った。その様子を見ていた空野が苦笑する。
『それにしても、すごい雪だね』
「そうかな? 北海道ではこれくらい普通だけど――」
吹雪が振り返りかけた時、前方で音無の悲鳴が聞こえた。彼女が階段で足を滑らせて転びかけたところを、すかさず後ろにいた吹雪が受け止める。
「気を付けて。階段は滑りやすいから」
「ありがとう、ございます…」
支えられていた体をゆっくり起こし、音無は頬を淡く染めた。
美形の異性にあんなことをされたら、誰だって惚れてしまうだろう。如月が吹雪のスマートな振る舞いを感心したように見ていると、突然大きな音が聞こえてきた。
『…!!』
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一森(プロフ) - bizyuさん» コメントありがとうございます! そのように言っていただけて嬉しいです…! 更新頑張ります(^^) (12月25日 2時) (
レス) id: a9a946d0de (このIDを非表示/違反報告)
bizyu(プロフ) - とても面白くて一気読みしてしまいました！これからも一森さんご自身のペースで頑張って下さい(◍•ᴗ•◍) (12月24日 17時) (レス) id: 529a911b17 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：一森 | 作成日時：2023年9月16日 3時
