第41話 ページ42
翌朝、瞳子の声と笛の音で雷門イレブンは目を覚ました。
支度を済ませた一同を乗せたキャラバンは走り続け、気が付けば北海道まで来ていた。
「ひゃっほ〜! ついに北海道だ!!」
いつの間にか窓の外は雪景色に変わっており、如月は見慣れない量の雪が積もっている道路を『わあ…』と物珍しそうに眺める。
気温も本州よりかなり低く、毛布に包まった壁山がくしゃみをして「さ、寒いっス…」と体を震わせた。
「北海道ですからね」
「たしかに、シカゴくらい寒いなあ…」
自身の体を摩る一之瀬の言葉に『シカゴ…?』と如月が首を傾げると、隣の風丸が「ああ、一之瀬はアメリカにいたから」と補足する。その直後、キャラバンは急ブレーキをかけて停車した。
「どうしたんですか?」
助手席の瞳子が古株に訊ねると、彼は「人だ…」とだけ答える。雷門イレブンがフロントガラスから前方を覗くと、道路の傍で体に雪を積もらせて震える少年が立っていた。
円堂はすかさずキャラバンを降りて少年に声を掛けに行く。
「どうしたんだ? こんなところで。乗れよ!」
ありがとうと言いたかったのだろうが、少年は寒さのあまり呂律が回っておらず「あ、あああり、ありがとととと」と笑顔を見せた。
『積もっちゃってるね。はい、よかったらどうぞ』
キャラバンに乗り込んだ少年に積もった雪を払いながら、如月は毛布とカイロを渡す。少年は「あああ、ありがととと」と震える手で受け取ると、雪を払っている如月のことをぼんやりと見つめていた。
『…?』
視線に気付いた如月は声を掛けるべきか迷ったが、古株が「それじゃ、発車するぞ」と言ったので席に着く。
それから数分しても少年が震えているので塔子が「まだ寒い?」と訊くと、少年は「ううん、もう大丈夫」と微笑んだ。
「雪原の真ん中で何してたの?」
「あそこは僕にとって特別な場所なんだ」
「…北ヶ峰って言ってね」話すことを躊躇したのだろうか、少年は視線を落とし間を空けてからそう言った。古株は北ヶ峰について知っているようで「北ヶ峰?」と会話に参加する。
「聞いたことあるぞ。たしか、雪崩が多いんだよなあ?」
「あ、……うん」
『…?』
消え入りそうな声で頷くと、少年は俯いた。後ろの席に座る如月はその様子に、何か事情があるのだろうか、と疑問を抱く。
運転席の古株は少年の表情を知る由もなく「ところで坊主、どこまで行くんだ?」と訊ねた。
「蹴り上げられたボールみたいに、ひたすら真っ直ぐに…」
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一森(プロフ) - bizyuさん» コメントありがとうございます! そのように言っていただけて嬉しいです…! 更新頑張ります(^^) (12月25日 2時) (
レス) id: a9a946d0de (このIDを非表示/違反報告)
bizyu(プロフ) - とても面白くて一気読みしてしまいました！これからも一森さんご自身のペースで頑張って下さい(◍•ᴗ•◍) (12月24日 17時) (レス) id: 529a911b17 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：一森 | 作成日時：2023年9月16日 3時
