第4話 ページ5
『……』
瓦礫に触れ、如月は悲しそうに顔を歪ませる。
雷門イレブンが戻るまで時間があったので、彼女は瞳子に一言言って雷門中のグラウンドに来ていた。地下に向かう前、この光景を目にしてから心がざわついていた彼女は、出発前にもう一度ここを見ておきたかったのだ。
―――行こっ、加澄!
いつも笑顔で手を引いて、色々な場所へ連れて行ってくれたリュウジ。どうして彼がこんなことをしなければならないのか。もっと私が強ければ、こうなる前に父さんを止められていたのではないか。
如月がお日さま園に行くきっかけとなった、彼女を孤独にしたとある事故。雷門中へ来た時、瓦礫と化した校舎を見てからその記憶に縛り付けられていたからか、感じる憤りの行き着く先は彼女自身だった。
＊
事故が起きたのは、5年前の帝国学園直属チームとの練習試合。当時如月の所属していたチーム･エクリプスは戦績の良いことで知名度が高まり始めていた頃であり、興味を持った帝国学園チームからの申し込みを受けてのことだった。
「加澄、任せた!!」
『うん!』
試合は7対0でエクリプスが7点リード。チームメイトであり兄の
「「行かせるかｯ!!」」
「――加澄の邪魔はさせないわよ」
そんな如月の行く手を2人のディフェンダーが阻む。が、チームメイトの
「ムーンライト･レイ!」
彼女が一直線に腕を上げた瞬間、満月は輝きを一層増す。それに呼応するように上空から月光が降り注ぐと、やがて光の柱となって2人を吹き飛ばした。
その間も如月は進み続け、気が付けばゴール前でシュートの体勢に入っていた。
『いくよ…!』
如月が側面を蹴ったボールは回転しながら氷を纏っていく。それを上空へ蹴り上げると、すぐに彼女も高く飛んでボールを追った。いまだに輝き続ける満月の中心に、彼女の影が現れる。
『アイスハイド!!』
空中で身を翻して蹴り込んだボールは、月光を反射して煌めきながらゴールへ吸い込まれていった。
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一森(プロフ) - bizyuさん» コメントありがとうございます! そのように言っていただけて嬉しいです…! 更新頑張ります(^^) (12月25日 2時) (
レス) id: a9a946d0de (このIDを非表示/違反報告)
bizyu(プロフ) - とても面白くて一気読みしてしまいました！これからも一森さんご自身のペースで頑張って下さい(◍•ᴗ•◍) (12月24日 17時) (レス) id: 529a911b17 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：一森 | 作成日時：2023年9月16日 3時
