第38話 ページ39
「おお〜! いっただっきまーす!!」
特訓が一段落つき、雷門イレブンは休憩のため集まっていた。
テーブルの上に並んでいる沢山のおにぎりは、綺麗な三角形をしたものや大きいもの、やや歪なものまで様々である。
円堂に続いて他のメンバーも口々に「いただきまーす!」とおにぎりへ手を伸ばした時、夏未が「待って!」とそれを制止した。
「手は洗ったのかしら?」
彼女の言葉に、雷門イレブンは綺麗に洗った両手を見せる。その勢いに圧された夏未は驚きながらも「よ、よろしい」と彼らがおにぎりを食べることを許可した。
それを見ていた如月は、雷門イレブンがおにぎりに飛び付く様子に微笑みながら遅れて夏未に両手を見せる。何の言葉もなく差し出された両手に驚いたのか、それとも如月がこういったノリに乗じることが意外だったのか、夏未は丸くした目をぱちりと瞬きしてから可笑しそうに笑った。
「よろしい」
『ふふ、ありがとう』
如月は夏未の笑顔につられて笑い、嬉しそうに争奪戦に参加しに行く。人と人の隙間を狙って腕を伸ばすと、捕まえたおにぎりを一口食べた。
『! 、美味しい…』
何の変哲もないおにぎりの塩味が、懐かしさを連れて口の中に広がる。お日さま園で食べたおにぎりを思い出し、柔らかく掠れた声が如月から溢れた。
「僕も握ったんですよ! いやあ、芸術的な出来栄えで…」
目金が自身の作ったおにぎりのこだわりについて得意気に語るが、食べることに夢中な雷門イレブンの耳に彼の話は入っていないようだ。
「ちょ、ちょっと! 聞いてくださいよー!!」と叫ぶ目金を、木野と音無は「あはは…」と困ったように笑った。
「あれ、監督は?」
「そういえばいないっスね…」
ふと瞳子がいないことに気付いた土門が周辺を見回す。壁山が同調すると、足音に気付いた一之瀬が「あ」と振り返った。彼の向く方向から瞳子がやって来る。
「皆、自主トレで汗かいたでしょう? 近くにお風呂があるから、すぐに入ってきなさい」
彼女の言葉に雷門イレブンは喜びの声を上げた。あれ程あったおにぎりはいつの間にか完食されており、一同は浴場へ向かって歩いていく。
「如月さん、ちょっといいかしら」
『あ、はい』
おにぎりの下に敷かれていたサランラップを捨てようと丸めている如月に、瞳子が声を掛けた。
「貰うよ」と言う木野に『ありがとう。おにぎりごちそうさま』と丸めたラップを手渡すと、林の方へ向かう瞳子の後について行った。
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一森(プロフ) - bizyuさん» コメントありがとうございます! そのように言っていただけて嬉しいです…! 更新頑張ります(^^) (12月25日 2時) (
レス) id: a9a946d0de (このIDを非表示/違反報告)
bizyu(プロフ) - とても面白くて一気読みしてしまいました！これからも一森さんご自身のペースで頑張って下さい(◍•ᴗ•◍) (12月24日 17時) (レス) id: 529a911b17 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：一森 | 作成日時：2023年9月16日 3時
