第33話 ページ34
「加澄に会ったそうだね」
エイリア学園の一室。暗い部屋の中に、3つのスポットライトが当てられていた。
そのうちの1つ、白い光を浴びる赤髪の少年――グランが話し掛けたのは、3つのスポットライトの焦点で跪いているレーゼだ。レーゼは顔を上げることなく「はい」とだけ返す。
「…どんな様子だった?」
次に口を開いたのは、赤い光を浴びる少年――バーンだった。普段とは違った元気のない声であったが、この場にいる誰もそれを不思議には思わなかった。数日前、如月がエイリア学園から姿を消してから、学園内の殆どの人物が同じような状態だからだ。
特に各チームのキャプテンは、星二郎から直接話を聞かされたこともあって緊張感も抱いていた。常に笑みを絶やさない星二郎の表情こそ変わらなかったが、体の芯まで凍て付くような冷たい声であったことを覚えている。
エイリア学園で最も実力のある如月は、星二郎の計画の明暗を分ける存在――その彼女を失った星二郎の焦り或いは憤りによって、場の空気は堪え難いものだった。
「…とても、見ていられるような状態ではありませんでした」
「……」
レーゼは正直に言うか迷ったが、感じたままに答えた。それを聞いたバーンは何も言わずに俯く。
奈良シカTVでの再会は思いがけないものであり衝撃的だったが、如月の怯えようの方がレーゼにとってはショックだった。幼い頃から一緒に過ごしてきた加澄が、自分達を前にしてあんなに震えてしまうなんて。
エイリア学園を去った後で、きっと俺達に会うことを怖く思っているだろう――予想してはいたが、それを遥かに上回る如月の反応に、レーゼは思わず彼女の名前を溢してしまった。
何より、倒れた円堂を見る如月の顔――あの表情が、あれからずっとレーゼの頭を離れないでいる。
如月がお日さま園に来た訳を彼らは知っていた。幼い頃に本人から聞いたから。だからあの時、円堂を見て彼女の兄のことを思い出したのだろうということがレーゼにはすぐに分かった。大好きな如月を苦しめてしまった罪悪感が、彼の心に深く突き刺さって抜けないでいる。
「どうかしたかい?」
「い、いえ、何でもありません」
レーゼの握られた拳に力が入ったことに気付いたグランが声を掛ける。レーゼは一瞬肩を跳ねさせ、咄嗟に否定した。それを見て、ここまで何も言わず沈んだ瞳で椅子に掛けていたガゼルが口を開く。
「たとえジェミニストームであっても、加澄を傷付けることは許さないよ」
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一森(プロフ) - bizyuさん» コメントありがとうございます! そのように言っていただけて嬉しいです…! 更新頑張ります(^^) (12月25日 2時) (
レス) id: a9a946d0de (このIDを非表示/違反報告)
bizyu(プロフ) - とても面白くて一気読みしてしまいました！これからも一森さんご自身のペースで頑張って下さい(◍•ᴗ•◍) (12月24日 17時) (レス) id: 529a911b17 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：一森 | 作成日時：2023年9月16日 3時
