第30話 ページ31
「もしかして、今日の試合でミスったからか…?」
土門の口から溢れた推測を円堂は聞き逃さなかった。
「そうなんですか、監督? それで豪炎寺に出ていけって…!」
「ちゃんと説明してください!」
弱小だった頃から雷門中サッカー部として共に戦ってきた豪炎寺が、チームから外される――不安に駆られた雷門イレブンは、何も言わない瞳子に迫る。
彼女は閉じていた目をゆっくりと開け、円堂達を見据えた。
「私の使命は、地上最強チームを作ること。そのチームに豪炎寺君は必要ない。それだけです」
「でも、それじゃ説明に…、――豪炎寺!!」
はっきりと言い切った瞳子に、雷門イレブンは驚いて目を見開いた。
日本一のチームのエースストライカーが、地上最強チームに必要ないとはどういうことなのか。瞳子の言葉に彼らの求めていた納得できる理由はなく、円堂は更なる説明を求める。が、豪炎寺が何も言わずにその場を去っていくのを視界の端に捉えると、すぐに彼の後を追いかけた。
＊
「監督! なんで豪炎寺を追い出すんですか!!」
「必要ない。ただそれだけよ」
豪炎寺と円堂が去ってから数十分。いまだに瞳子への詰問は続いていた。しかし彼女の返答は「必要ない」の一点張りで、耐えかねた染岡は「あのなあ……!!」と拳を震わせて殴りかかろうとする。険悪な空気を不安そうに見ていた如月は、慌てて瞳子の隣へ駆け出した。
『ま、待って…!』
「もうやめろ」
染岡の後ろで沈黙していた鬼道は、染岡の肩を掴んで彼を止める。それを見た如月は少し安心したのか、胸の前で握られていた拳からゆっくりと力が抜けていった。
「そんなことをしても、豪炎寺は戻って来ないぞ」
言われなくても分かっている、それでもこの感情をどこかにぶつけなければ気が済まない。染岡の気持ちを汲み取り、如月は悲しそうに彼を見つめる。やり場のない感情を消化するのは時間が掛かることを彼女は知っていた。
「…染岡」
一之瀬に呼ばれ、染岡はハッとして振り返る。目が合うと一之瀬は静かに頷いた。
豪炎寺がチームを離れることに納得できないのは染岡だけではない。でも今は、どうにもならない。染岡は悔しそうに「クソｯ!!」と地面を蹴った。
染岡と同じ気持ちだからこそ、雷門イレブンは彼に掛ける言葉を見付けられずに俯くだけだ。
「…あ、円堂君」
そんな時、円堂が戻って来た。
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一森(プロフ) - bizyuさん» コメントありがとうございます! そのように言っていただけて嬉しいです…! 更新頑張ります(^^) (12月25日 2時) (
レス) id: a9a946d0de (このIDを非表示/違反報告)
bizyu(プロフ) - とても面白くて一気読みしてしまいました！これからも一森さんご自身のペースで頑張って下さい(◍•ᴗ•◍) (12月24日 17時) (レス) id: 529a911b17 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：一森 | 作成日時：2023年9月16日 3時
