第29話 ページ30
「でも思ったんだ、俺。これなら取れないことはない。もっともっと特訓して、力を付ければ必ず取れるって!」
円堂は嬉々として両の拳を握った。強敵が現れようとも挫けるどころか自身の進化を確信し、それを喜んでいるようにも見える彼の表情に、雷門イレブンも自然と口角が上がっていた。
「つまり監督は、今日の試合を捨てて、次の試合に勝つために僕達の身を守り、円堂君にキーパーの練習をさせていたということですね!」
目金が簡潔にまとめると、それを聞いた染岡が「鬼道、そうなのか…?」と左方を向いた。鬼道が頷けば、瞳子の真意を理解した染岡は「…そういうことだったのか」と悔しくも納得した様子を見せる。
「やっぱり、監督ってすごい人っス! ……あ、監督」
SPフィクサーズとの時は、すごい監督だと思ったのに…一度肩を落とした壁山も、やはり自分の感じた瞳子の腕は間違っていなかったのだと嬉しそうに言った。
そこへ、先程まで姿のなかった瞳子が戻って来た。彼女の存在に気付いた壁山が呟くと、雷門イレブンも彼の視線の方を向く。瞳子の後ろには、彼女と同様に姿のなかった如月もいた。
瞳子は皆の前まで来て立ち止まると「豪炎寺君」と彼のいる方へ顔を向ける。
「あなたには、チームを離れてもらいます」
彼女から放たれた言葉は、今日一番の衝撃をチームに与えた。豪炎寺本人も驚きに目を見開いたが、彼はそれだけで何も言わない。雷門イレブンも驚きのあまり言葉を失い、再び不穏な雰囲気が漂い始める。
ただ1人、如月はこうなることを知っていたのか、驚くことなく静かに豪炎寺を見据えていた。その表情はどこか罪悪感を覚えているようにも見える。
「い、今なんて言ったでやんすか、監督? 離れろとか何とか…」
瞳子の言葉が信じられず、栗松は自身の耳を疑うように壁山と目金を振り返った。雷門イレブンは今度こそ瞳子の意図が分からなくなり、音無と木野も「ど、どういうことですか…?」「さあ……」と不安そうに顔を見合わせる。
「……、!」
豪炎寺は暫く瞳子の目を見ていたが、彼女の瞳から何か伝わったのか、ハッとすると雷門イレブンに背を向けた。円堂は咄嗟に「ちょ、ちょっと待てよ豪炎寺!」と呼び止める。
「どういうことですか、監督! 豪炎寺に出ていけなんて…」
「そうですよ、監督! 豪炎寺は雷門のエースストライカー。豪炎寺がいなきゃ、あいつらには…!」
円堂と風丸が瞳子に言葉をぶつけた。
しかし彼女は何も言わない。
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一森(プロフ) - bizyuさん» コメントありがとうございます! そのように言っていただけて嬉しいです…! 更新頑張ります(^^) (12月25日 2時) (
レス) id: a9a946d0de (このIDを非表示/違反報告)
bizyu(プロフ) - とても面白くて一気読みしてしまいました！これからも一森さんご自身のペースで頑張って下さい(◍•ᴗ•◍) (12月24日 17時) (レス) id: 529a911b17 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：一森 | 作成日時：2023年9月16日 3時
