第28話 ページ29
風丸の頭に過ったのは、ジェミニストームとの1回目の試合で彼らに酷く痛めつけられた仲間の姿だった。鬼道は風丸の言葉に「ああ、確実にな」と頷く。
「じゃあ監督は、俺達を守るために…」
「そういうことだったんでやんすか!」
鬼道のおかげで一之瀬と栗松も瞳子の作戦の真意に気付いたようだ。しかし、土門は納得していないのか「でも、本当にそれでよかったのか?」と切り出す。雷門イレブンの視線は土門へ集まった。
「どんな状況でも全力で戦う、それが俺達のサッカーだろ!?」
土門に返す言葉が見付からず沈黙が生まれる。
たしかに彼の言う通り、雷門イレブンは逆境に立たされようとも常に全力で戦ってきた。瞳子の考えるように選手生命を尊重することも大切だが、土門にとっては敵を討つことの方が重要だったのかもしれない。
染岡が「土門の言う通りだぜ」と沈黙を破った。
「円堂犠牲にして俺達だけ助かって、そんなの雷門のサッカーじゃねえ!」
「――それは違う!」
そこへ、手当てを受け終えた円堂がキャラバンから降りてきた。彼のことを心配して待っていた雷門イレブンは口々に彼の名前を呼んで近くへ集まる。塔子は「動いて大丈夫なのか?」と声を掛けた。
「平気平気! こんな傷、屁でもねえって……いった!」
心配そうに見つめられ、円堂は安心させようと自身の肩を拳で軽く押してみせる。しかし流石の円堂もすぐには回復しきれていないようで、痛みに肩を押さえた。調子に乗りすぎよ、と夏未が呆れた様子で言う。
とにかく円堂の無事が分かり、雷門イレブンの表情は穏やかになった。場の雰囲気は一気に和やかになる。
「で、どういうことなんだよ。それは違うって」
「監督は、奴らを使って俺を特訓してくれたんだ」
「特訓?」
一之瀬の反芻に、円堂は「ああ!」と頷いた。
「奴らのシュートを受け止めるためには、実際に受けながら特訓するのが一番の近道だからな! おかげで最後の最後、ちょっとだけ奴らのシュートが見えた!」どんな状況でも負けることを考えない、円堂の前向きな姿勢が笑顔に表れていた。
奴らのシュートが見えた、この言葉に風丸が反応する。彼に「本当か、円堂!」と聞かれ、円堂は嬉しそうに首を縦に振ると「それに奴らの必殺技も経験できた!」と続ける。
「すごかったよなあ、あの必殺技! 今でも手がヒリヒリしてらあ!」
レーゼの必殺技の感触がまだ新しいのか、円堂は思い出すように両手を広げた。
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一森(プロフ) - bizyuさん» コメントありがとうございます! そのように言っていただけて嬉しいです…! 更新頑張ります(^^) (12月25日 2時) (
レス) id: a9a946d0de (このIDを非表示/違反報告)
bizyu(プロフ) - とても面白くて一気読みしてしまいました！これからも一森さんご自身のペースで頑張って下さい(◍•ᴗ•◍) (12月24日 17時) (レス) id: 529a911b17 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：一森 | 作成日時：2023年9月16日 3時
