第26話 ページ27
レーゼは回転を掛けるようにボールの表面を蹴った。ボールは回転しながら周囲を巻き込むように風を起こし、その身に纏う青い光を強くしていく。
「なんだこれは!」
「な、何が起こってるんだ…!?」
「必殺技…!?」
今まで感じたこともない強大なパワーに、雷門イレブンはその場に立ち尽くす。強風が吹く中、円堂は両手を広げて構えた。
「面白い…。来るなら来い! これ以上点はやらないぜ!!」
「アストロ…ブレイク!!」
レーゼが打ったシュートは、這うように地面を巻き込みながらゴールへ迫る。円堂は「今度こそ…!」と体を捻った。
「マジン･ザ･ハンド!! ……うわあｯ!!」
この試合で初めて見せた円堂の必殺技は、いとも簡単に破られてしまった。彼の背後に現れた魔神はアストロブレイクによって吹き消され、ゴールネットを破ってもなお威力を失わないボールは建物の壁に当たると大きな音を立てて破裂した。
『そ、んな…』
それを見て、いかに強力なシュートであったかを知った雷門イレブンは言葉を失う。如月が最後にレーゼのサッカーをする姿を見たのはいつだったか、先程のシュートは、その時の威力を遥かに超えていた。
「円堂君!」
32対0を迎えたところで試合終了のホイッスルが鳴った。ベンチにいたマネージャーは、倒れて意識を失った円堂のもとへ駆け寄る。木野は彼の横で膝をついて「大丈夫? 円堂君!!」と声を掛けるが、彼からの返事はない。
―――やだっ、やだよ……!! 兄さん…ｯ!!!
目を閉じる円堂の姿を見て、如月が思い出すのは兄の姿だった。事故の後、彼女が病院で目を覚ました時には既に兄は息を引き取っており、安置室で冷たくなった兄を必死に揺すった――あの時の感触が如月の手に蘇る。
『……あ…ああ……ｯ』
震える如月の口から漏れる声に、瞳子はハッとして彼女を覗き込んだ。如月は顔を真っ青にし、震える瞳は遠くで倒れる円堂を捉えていた。瞳子はすぐに状況を理解すると、視界から円堂を遮るように彼女の前に屈んで両手を握った。
「加澄、落ち着いて。円堂君は大丈夫よ」
名前を呼ばれた如月は、瞳子の低く優しい声に徐々に意識をこちら側に取り戻していく。恐怖に戸惑い今にも泣きそうな表情で、弱々しく『ね、さん…』と瞳子の手を握り返した。
「私はここにいるわ」
「……」
瞳子は柔らかく微笑むと、安心させるように如月の手を優しく撫でる。禍々しい光に包まれながら、ジェミニストームはその様子を見ていた。
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一森(プロフ) - bizyuさん» コメントありがとうございます! そのように言っていただけて嬉しいです…! 更新頑張ります(^^) (12月25日 2時) (
レス) id: a9a946d0de (このIDを非表示/違反報告)
bizyu(プロフ) - とても面白くて一気読みしてしまいました！これからも一森さんご自身のペースで頑張って下さい(◍•ᴗ•◍) (12月24日 17時) (レス) id: 529a911b17 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：一森 | 作成日時：2023年9月16日 3時
