第25話 ページ26
「ゴッドハ――」
円堂が右手を前に出そうとするも間に合わず、シュートは顔面に直撃した。痛々しいその様子に塔子は一度目を伏せ「円堂!!」と彼の名前を呼ぶ。
無情にもジェミニストームに31点目が入るホイッスルが鳴り響いた。
「どうやら試合はここまでのようだ。これでお前達も分かった筈だ…大いなる力の前では、いかにお前達が無力であるかが」
レーゼは倒れる円堂を見下ろす。その目は冷たく、如月は血の気が引くのを感じた。ここにいるのは、あの明るくて優しいリュウジではない。エイリア学園･ジェミニストームのレーゼだ――。
信じたくない現実に、如月の胸の奥底から言いようのない感情が湧き上がるのを感じた。怒りでも悲しみでもあるような、形容し難いどろりとした感情が鈍く音を立てて湧き上がる。
「…なに、勝った気になってるんだよ……。まだまだ試合は、終わっちゃいないぜ…!!」
『…!』
そんな時、円堂がゆっくりと起き上がった。醜い感情に取り巻かれていた如月はハッと我に返る。円堂は「俺なら大丈夫だ!」と立ち上がってみせるが、体は限界に近いようでふらついていた。
「駄目だよ、皆!! これ以上やったら、今度は本当に円堂が…!!」
もう点はやらない、と円堂は構えるが、塔子は雷門イレブンに呼び掛けた。彼女の言葉は尤もで、一同は視線を落とす。エージェントを見る度に妹･夕香の姿が脳裏に過る豪炎寺は、どうしようもない状況に悔しさを噛み締めた。
「円堂は、言っても聞かない奴だと分かってる……。とにかく1点だ!! 何が何でも取っていくぞ!!」
しかし、諦めないのが雷門イレブンだ。その象徴でありキャプテンの円堂が立ち上がる限り、彼らにも諦めるという選択肢はなかった。
染岡は円堂の意志を尊重することと彼の体への心配の狭間に揺れるが、前者を選び拳を握った。染岡の選択に雷門イレブンも「おう!!」と拳を突き上げる。
その様子をレーゼは静かに見ていた。
「…ふん、愚かな」
＊
試合が再開し、すぐさま一之瀬がボールを奪われる。ボールはそのままレーゼに渡り、彼はそれを受け取ると円堂を見据えた。これまでシュートは間髪入れずに打たれていたこともあり、妙に緊張感が漂う。レーゼは閉ざしていた口を開いた。
「地球にはこんな言葉がある。井の中の蛙、大海を知らず――己の無力、思い知るがいい!」
『……!』
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一森(プロフ) - bizyuさん» コメントありがとうございます! そのように言っていただけて嬉しいです…! 更新頑張ります(^^) (12月25日 2時) (
レス) id: a9a946d0de (このIDを非表示/違反報告)
bizyu(プロフ) - とても面白くて一気読みしてしまいました！これからも一森さんご自身のペースで頑張って下さい(◍•ᴗ•◍) (12月24日 17時) (レス) id: 529a911b17 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：一森 | 作成日時：2023年9月16日 3時
