第24話 ページ25
「皆、ボールをキープして攻めるんだ!!」
円堂を振り返る鬼道は悔しそうに顔を歪めるが、迷っている暇はないと走り出した。雷門イレブンは彼の指示通り全員で上がっていく。
「ぎゃああｯ!!」
が、栗松のボールはあっさりと奪われ、またしてもディアムが攻め上がる。驚異的なスピードで雷門イレブンを物ともせずに迫る彼の行き先を、豪炎寺は「円堂!!」と心配する。しかしエージェントの姿を捉えてしまい、足を止めて悔しさに拳を握った。
「うわあｯ!!」
「円堂!!」
シュートは円堂の頭を弾いてゴールに入る。円堂を心配する塔子の叫びに、如月は左手首を強く握った。
こんな時にこんなところにいていい訳がない。そう分かっていても、体は情けなく震えて行動に移せない。皆を心配するふりをして、自分が傷付くことを恐れているただの臆病者だった。
あの時と同じで、何もできない――。
「――加澄ｯ!」
『……ｯ!!』
突如肩を揺すられる。いつの間にか息が止まっていたことを思い出し、浅く息を吸うと隣に顔を向ける。顔を青くした瞳子が、不安に塗れた表情で如月の肩を掴んでいた。如月の奥底で沸々と湧き上がっていた感情は次第に鳴りを潜めていく。
彼女の肩に置かれた手が僅かに震えていることに気付くと、如月は力なく微笑んでみせた。
『…大丈夫、何でもないよ』
心配させちゃったよね、ごめん。そう言う如月の表情には影が落とされたままで、瞳子の心配は拭いきれない。納得していない様子で見つめられ、如月は『そんな顔しないで』と再び微笑んだ。
＊
その後も戦況は変わらず、雷門イレブンは手も足も出ないまま得点板は30対0を示していた。
シュートに反応できず体でボールを受け続ける円堂はボロボロで、雷門イレブンは倒れ込んだ彼を心配そうに見つめる。如月も何かを思い出すように震える瞳で円堂を見ていた。
「どうすんだよ鬼道!? このままじゃ円堂がもたないよ!」
「やっぱり無理なんだよ、こんなフォーメーション!!」
塔子と一之瀬に言われるも、瞳子の考えが分からない鬼道には返しようがなかった。ベンチの瞳子を見ても、彼女がどのような意図でこの采配をとったのか検討がつかない。
「(どう考えても、攻撃だけでゲームを組み立てるのは不可能だ…。……不可能?)」
が、ここで何かに気付いたようで、彼はゴールに立つ円堂へ顔を向ける。リームがシュートを打つ瞬間だった。
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一森(プロフ) - bizyuさん» コメントありがとうございます! そのように言っていただけて嬉しいです…! 更新頑張ります(^^) (12月25日 2時) (
レス) id: a9a946d0de (このIDを非表示/違反報告)
bizyu(プロフ) - とても面白くて一気読みしてしまいました！これからも一森さんご自身のペースで頑張って下さい(◍•ᴗ•◍) (12月24日 17時) (レス) id: 529a911b17 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：一森 | 作成日時：2023年9月16日 3時
