第23話 ページ24
「こちらのディフェンスを全てここまで上げて、全員攻撃するのよ」
瞳子の作戦は、SPフィクサーズ戦の時と同様に突飛なものであった。当然これには雷門イレブンも驚き、土門は「そ、そんなに上げるんですか?」と声を上げる。
「でもそれじゃあ、ディフェンスがいないも同然…それこそ奴らに抜かれでもしたら、終わりじゃないですか!!」
「だったら、抜かれないようにすることね」
風丸は瞳子に意見するが、彼女はさらりと返して踵を返してしまった。大きな点差を前にして力の差が明白な今、平然と無茶なことを言ってのけた彼女の態度に「なんなの、あの監督!?」と塔子は不快感を露わにする。
「いやー、俺もよく分かんないんだけどさ…。でもまあ、とにかくやってみようぜ! SPフィクサーズに勝てたのも、監督の作戦があったからなんだしさ!」
悪くなりつつある空気を変えようと円堂は皆に呼び掛けるが、彼に返事をする者はいなかった。
雷門イレブンを守るために、あえて勝負にならないようなフォーメーションを組んだのだろうと如月は推測していた。では、シュートを受けなければならない円堂はどうなるのか――この疑問にぶつかり、彼女は隣に座る瞳子をちらりと見る。しかし瞳子の顔に答えが書いてある筈もなく、円堂の横顔に目を向けた。
『……』
人を疑うことを知らない、透き通った目。綺麗で憧れすら抱いてしまう彼の目が、如月には少し怖かった。彼は私をどんな風に見ているのだろう。自分がエイリア学園から来た人間であることを知ったら、彼はどんな目で私を見るのだろう――。
＊
「皆、頼んだぞ!! ゴールは任せとけ!!」
円堂はゴールから声を張り上げた。彼の表情は明るく、言葉は心のままのものなのだろう。
一方、鬼道はベンチの瞳子を見る。こんなフォーメーションで、どうやって試合を組み立てろと…? ゴーグルの奥の瞳は、懐疑的に瞳子の姿を捉えていた。
「ふん、何をやっても無駄なこと…。構わん、叩き潰せ」
実況もこのフォーメーションに驚いていたが、ジェミニストームは一切表情を変えずに余裕の構えを見せる。レーゼの指示を受け、リームのキックオフで後半が始まった。
「「ｯ!!」」
『円堂君…!』
ボールを受けたディアムが、FWの豪炎寺･染岡を抜かず早々にシュートを放つ。突然のことに動けない2人の間を突き抜け、シュートはあっという間に円堂諸共ゴールに突き刺さった。
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一森(プロフ) - bizyuさん» コメントありがとうございます! そのように言っていただけて嬉しいです…! 更新頑張ります(^^) (12月25日 2時) (
レス) id: a9a946d0de (このIDを非表示/違反報告)
bizyu(プロフ) - とても面白くて一気読みしてしまいました！これからも一森さんご自身のペースで頑張って下さい(◍•ᴗ•◍) (12月24日 17時) (レス) id: 529a911b17 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：一森 | 作成日時：2023年9月16日 3時
