第22話 ページ23
しかし、突如ボールは炎の翼を失った。シュートはゴールポストの上に大きく逸れてしまう。
「豪炎寺!」
ドサ、と鈍い音が聞こえた。体勢をとれず、左半身で着地してしまった豪炎寺を風丸が心配する。土門は「豪炎寺が2回も外すなんて…」と驚きを露わにしていた。
地下理事長室でエイリア学園の話題に反応を見せたこと、豪炎寺が2回もシュートを外し着地にも失敗したこと、エージェントが不気味に笑いながら試合を見ていること――これまでに感じた幾つもの違和が、如月の中で繋がった気がした。
『……』
如月は隣の瞳子をちらりと見る。彼女は表情を変えずに豪炎寺を見据えているだけだ。その横顔と豪炎寺の表情に、如月の心の奥がざわつき始めた。
なにか、嫌な予感がする――。
＊
「攻撃パターン?」
試合は13対0で前半を終え、ハーフタイムを迎えていた。
雷門イレブンは、試合の途中で鬼道がパスカットに成功したトリックを明かされる。
「そうか、それであそこに来るって分かったのか」
「いつの間にそんなことを!」
攻撃パターンがあることを見抜いた鬼道は、それに気付けたためにボールを奪うことができたようだ。他のメンバーはそれに気付かなかったようで、一之瀬と塔子が感嘆する。
「すげーぜ鬼道! やっぱりお前は天才ゲームメーカーだ!!」
「これならいけるな!」
ジェミニストームの攻略に一縷の望みが見えたことで、チームの雰囲気は一気に明るさを取り戻す。円堂と風丸に続き、染岡も「奴らの攻撃パターンさえ分かりゃこっちのもの。後半は点取ってくぜ!!」と拳を握った。
そこへ、瞳子が「甘いわね」とやって来る。
「確かに鬼道君の言う通り、ジェミニストームの攻撃には一定のパターンがある」
彼女も鬼道と同じくジェミニストームの攻撃パターンを見抜いていたらしく、それに驚いた木野は「監督も気付いていたんですか?」と思わず声を漏らした。
「見ていれば分かります」と返された木野は「す、すみません…」と視線を落とす。
「あなた達、今自分がどんな状態だか分かってるの?」
瞳子に問い掛けられた雷門イレブンは「状態…?」と顔を見合わせる。しかし、誰の顔にも答えは書かれていない。
「今のあなた達じゃ、相手のスピードには付いていけない。攻撃パターンが分かったくらいで倒せる相手じゃないのよ」
「じゃあ、どうしろって言うんですか?」
円堂のこの言葉を待っていたかのように、瞳子は微笑みを浮かべた。
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一森(プロフ) - bizyuさん» コメントありがとうございます! そのように言っていただけて嬉しいです…! 更新頑張ります(^^) (12月25日 2時) (
レス) id: a9a946d0de (このIDを非表示/違反報告)
bizyu(プロフ) - とても面白くて一気読みしてしまいました！これからも一森さんご自身のペースで頑張って下さい(◍•ᴗ•◍) (12月24日 17時) (レス) id: 529a911b17 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：一森 | 作成日時：2023年9月16日 3時
