第20話 ページ21
豪炎寺のキックオフで試合が始まった。鬼道の作戦通り、雷門イレブンはショートパスでボールを繋いで上がっていく。
しかし、その流れはコラルによって切られてしまった。パスカットをされた豪炎寺を、屋上の隅に立つ3人の男達――エージェントが不敵に笑う。
「…!」
塔子と豪炎寺が驚いている間に、今度はジェミニストームがボールを繋いで上がっていく。パンドラからパスを受けてゴールへ向かうディアムに円堂が構えた。
「(奴らのシュートに、マジン･ザ･ハンドじゃ間に合わない……だったらゴッドハンドで…!!)」
そんな円堂を笑いながらディアムはボールを蹴り込む。円堂の瞳はディアムの足元にあるボールを捉えていたが、その姿は風に吹かれたように消えてしまった。
次の瞬間、シュートは円堂と共にゴールへ突き刺さる。
「うわあｯ!!」
『ｯ!!』
円堂の声にハッとした如月は、思わず顔を上げてゴールの方を見た。尻餅を搗いた円堂の姿が目に入り、不安で瞳が揺らぐ。
どうしてこんな、人を傷付けるようなプレーを…。ジェミニストームの皆がどのような表情をしているのか、如月は怖くて見ることができなかった。
木野は「円堂君…!」と彼を心配そうに見つめる。
「やっぱり速い…! 全然球筋が見えない…!!」
円堂は側に転がったボールを見て言葉を溢す。決してジェミニストームのスピードを侮っていた訳ではない。寧ろ警戒していた筈なのに、反応はおろか視認することさえできなかった。
「これがエイリア学園の速さ…」
「なにビビってるんだよ? まさか怖気付いたなんて言うんじゃないだろうな」
あの円堂ですら手が出ないなんて。一部始終を見ていた塔子の頬を一筋の汗が伝った。衝撃を受けて立ち尽くす彼女に、近くにいた染岡が声を掛けたが、塔子がすぐにいつもの調子で「誰がビビってなんか! ちょっと驚いただけ」と強がると、染岡はその様子に安心してフッと笑った。
「まだまだ1点! 勝負はこれからだ!」
風丸の掛け声に、円堂も「うん。まだまだ!!」と笑顔を見せる。しかし豪炎寺にはその声が届いていないのか、彼はエージェントの姿を険しい表情で気にしていた。
これから…? 如月は心の中で疑問を呈する。
圧倒的な力の差を目にした今、雷門イレブンに勝ち目がないことは彼女の目には明らかだった。諦めない姿勢は評価されるべきであるが、このまま試合を続けてしまっては雷門イレブンの体が心配だ。
…左手首を握る手に、力がこもる。
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一森(プロフ) - bizyuさん» コメントありがとうございます! そのように言っていただけて嬉しいです…! 更新頑張ります(^^) (12月25日 2時) (
レス) id: a9a946d0de (このIDを非表示/違反報告)
bizyu(プロフ) - とても面白くて一気読みしてしまいました！これからも一森さんご自身のペースで頑張って下さい(◍•ᴗ•◍) (12月24日 17時) (レス) id: 529a911b17 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：一森 | 作成日時：2023年9月16日 3時
