第16話 ページ17
「負けたよ。流石は日本一の雷門イレブンだ!」
「いやあ――……え、今なんて言った…?」
からりと笑う財前に褒められた円堂は、満更でもない顔で頭を掻く。が、ワンテンポ遅れて彼女の言葉のおかしなところに気付くと顔を引き攣らせた。
「あたし知ってたんだ。あんた達が、フットボールフロンティアで優勝したチームだって」
「「なんだってー!?」」
へへ、と笑う財前に、円堂と土門が声を揃えて驚く。他のメンバーも気付いていなかったようで、鬼道や豪炎寺でさえ呆気にとられていた。円堂が顔を引き攣らせたまま「それ、どういうこと…?」と訊ねると、長い事情を説明するためにと雷門イレブンと財前は場外に集まって腰を下ろした。
＊
「え!! 総理大臣の娘!!?」
「うん。びっくりした?」
彼女の正体を聞いた円堂は驚きのあまり声を裏返らせた。こういった反応には慣れているのか、財前は気にもしていない様子で座り直すと真剣な面持ちで円堂を見た。
「あたし、宇宙人からパパを救い出したい。だから、超強力な仲間が欲しいんだ!」
「それで俺達と強引に試合を…」
「ごめん。試したりして」
「いいさ、気にするなよ!」
ザザ、と近くにあったモニターに一瞬砂嵐が映る。それには誰も気付いていない様子で、財前は試合を強引に行なったことを詫びた。彼女は不安そうに円堂を見つめるが、彼が快く笑い流してくれたことに安心して口もとが綻んだ。彼女は一度頷くと、再び表情を引き締める。
「あんた達ならエイリア学園に勝てるかもしれない。あたしと一緒に戦ってほしいんだ! パパを助けるために!」
「もちろんさ!」
「な、皆!」円堂が呼び掛けると、雷門イレブンは「おう!」と声を揃えて頷いた。父親が攫われてからずっと不安だったのだろう、彼らの反応を見た財前は表情に明るさを取り戻して「ありがとう…!」と笑みを見せた。
円堂は徐に立ち上がって彼女に手を差し出す。
「俺、円堂守。よろしくな、財前――えっと…」
彼女の名前を知らない円堂は、そこまで言って困ったように笑う。財前も立ち上がると右手を差し出した。
「財前塔子。塔子って呼んでよ」
「じゃ、よろしくな。塔子!」
2人は笑い合って握手を交わす。
新たな仲間が加わり和やかな空気の中、ザザザ…とモニターが砂嵐に揺れた後、1人のシルエットが大きく映し出された。
「地球の民達よ。我々は宇宙からやって来た、エイリア学園なり」
『……!』
――如月の心臓が大きく脈打った。
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一森(プロフ) - bizyuさん» コメントありがとうございます! そのように言っていただけて嬉しいです…! 更新頑張ります(^^) (12月25日 2時) (
レス) id: a9a946d0de (このIDを非表示/違反報告)
bizyu(プロフ) - とても面白くて一気読みしてしまいました！これからも一森さんご自身のペースで頑張って下さい(◍•ᴗ•◍) (12月24日 17時) (レス) id: 529a911b17 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：一森 | 作成日時：2023年9月16日 3時
