第10話 ページ11
「動かぬ証拠があるのに、往生際の悪い宇宙人ね」
円堂の後ろにある黒いサッカーボールに視線をやり、女は自信ありげに言う。円堂も振り返ってボールを見た後、再び女に向き合って大きな声で言い返した。
「何度言ったらわかるんだ!! 俺達は宇宙人じゃない!!」
「キャプテンの言う通りでやんす!」
「俺達のどこが宇宙人に見えるんだよ!!」
「疑うにも程がある!」
栗松、染岡、風丸も円堂に加勢するが、却って逆効果だったようで「そうやって必死に否定するところがますます怪しい」と返される。円堂は頭に血が上っているのか、女とぶつかりそうな程に顔を近付けて「宇宙人じゃない!!」「宇宙人だ!!」と水掛け論を繰り広げ出した。
『まあまあ、ちょっと落ち着こうよ』
このままでは埒が明かないと思った如月が2人の横に来て制止する。
一呼吸置いたおかげで少し冷静さを取り戻したのか、お互い静かになると女が「よし!」と顔を離した。
「そこまで言うなら、証明してもらおうか」
「ああ、望むところだ!」
＊
「…で、なんでサッカーなのよ?」
彼らに連れられて来たのはサッカーグラウンドだった。おそらく雷門イレブンの殆どが夏未と同じように思っていたであろう。
瞳子も「さあ?」と相手の意図は分かっていない様子だが「でも、やって損はないわ。大人相手に彼らがどこまで戦えるのか、見てみたいの」と、この試合の意義を見出しているようだ。
「…あった!」
円堂や土門達が戦い方について話し合っていると、パソコンをタイピングしていた音無が声を上げた。一之瀬と木野が彼女の両隣からパソコンを覗き込む。
「SPフィクサーズ…。大のサッカーファンである財前総理のボディガードでもあるサッカーチームです!」
「サッカーで体を鍛えてるって訳か」
「相手が大人というだけでも大変なのに…」
「どうやって戦えばいいでやんすかね…?」
「監督、アドバイスをお願いするっス…!」
相手がボディガード兼サッカー選手であることが分かり、その屈強な風格に拍車が掛かって見えたのだろう。目金や栗松は不安を溢した。壁山の縋るような言葉に、雷門イレブンの視線が瞳子へ集まる。
「とりあえず、君達の思うようにやってみて」
しかし、彼女の口から出た言葉は壁山の期待するようなものではなかった。そのまま踵を返してベンチへ向かってしまった瞳子の後ろ姿に、壁山と栗松は「ええーっ!?」「そんなあ…」と肩を落とした。
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一森(プロフ) - bizyuさん» コメントありがとうございます! そのように言っていただけて嬉しいです…! 更新頑張ります(^^) (12月25日 2時) (
レス) id: a9a946d0de (このIDを非表示/違反報告)
bizyu(プロフ) - とても面白くて一気読みしてしまいました！これからも一森さんご自身のペースで頑張って下さい(◍•ᴗ•◍) (12月24日 17時) (レス) id: 529a911b17 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：一森 | 作成日時：2023年9月16日 3時
