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198#真実と贄 ページ7

(Side,折)


由緒ある術士一家である、

守篠家に俺は直系の血を継ぐ子息として生まれた。


幼い頃からいつもそばにいるのは、

両親ではなく、父方の祖母だった。

祖母は近年稀に見る才能溢れる術士だったらしく、

俺の教育者としてそばに置かれていた。




「婆様は“審神者”をしていたの?」


「あぁ、そうじゃ。してい“た”んじゃ……」


「ふーん」




審神者という仕事に、

俺はそんなに興味を持っていた訳ではない。

後々、扱える術も増えた頃、

祖母に勧められたから……というだけであった。

しかし、それは俺が大事な祖母の言い付けを忘れた頃のことだった。



“お前は神と密接に在らねばならぬ”


“祈与よ。その運命(さだめ)に目を背けるのは守篠の血を穢す罪となる”


“神の声を聞き入れ、尽くせ”



ある夜、俺は聞いた。

聞いてしまった。

こっそりと夜中の裏山の神社で術の練習をして、

戻ってきた時のこと。




「どうして祈与が……」


「……」




頬を涙で濡らした母親を見た。




「お義母様。

 祈与を“贄”から外すことは叶わないのですか……!?」


「出来ぬことじゃ。こればかりは。

 ……神託が降りてしまえば覆せぬのじゃ」




祖母は淡々と告げるも、その顔は歪んでいた。




「……」




そして、父親は最後まで無言で俯いていた。


カタン、と障子を鳴らしてしまった俺は、

あっさり彼らに見つかった。

そして、祖母に撫でられた。




「祈与……」


「俺、審神者やるよ。怖くない。

 神様に隠されても、俺、いいよ。

 だって婆様は神様のことを家族って言ってた。

 なら、俺の神様も俺の家族だから。

 “家族”と一緒なら、俺は怖くない」




祖母も、父も、母も、皆が驚いた顔をした。





((いつか来る別れを、来るなと呪うように願っていた))

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設定タグ:刀剣乱舞 , 姫鶴一文字 , 一期一振   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:久遠深ヶ | 作成日時:2017年1月15日 17時

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