196#誉と親子 ページ5
(Side,一期)
残り6日。
こうして数えだしてから、
一日が何とも長く感じるようになった。
「見て下さい、父様!!」
「よくやったね、一姫」
一姫が見せるのは先日の出陣報告書。
極となった一姫は部隊長を任せられるようにもなり、
誉も沢山取るようになった。
「ねぇ、父様」
「ん?」
「この戦いが終わってしまったら、
あるじさまは帰ってしまうんですよね?」
「ちゃんと伝えられているわけではないから、
分からないが……きっと」
「それなら……」
そう言いかけて言葉を詰まらせてしまった一姫。
その続きを私は知っている。
私も、そう思ってしまったことがある。
“この戦いが、ずっと終わらなければいいのに”
そうすれば、主が生きている限りはそばにいられる。
けれど、主はその先を求めた。
ずっと、いたい。
それは死ぬことで離れたくないという意味で取っていいもの。
「6日後、事は動くのだから」
「そう、ですね」
一姫はどちらかというと乱に近い。
物腰が柔らかく、
その見た目もAに似たからか淑やかで愛らしい。
「あるじさまは、父様が、
昔は乱兄様みたいだったんじゃないか、と言っていました」
「!?」
「父様は焼けて、再刃されたとお聞きしました。
今は
昔は乱兄様みたいだったんじゃないかって」
「あぁ……そうかもしれないな。
焼けたせいで前のことを覚えていないから何とも言えないが」
主の学びへの意欲はすごい。
何処でそういうことを知ってくるのだろうか。
「刀の本を集めているんですよ、あるじさまは」
「……何故?」
「僕たち、刀剣のことをもっと知りたいそうです」
(一姫、欲しいものある?)
(あ、金魚の餌がきれそうなんです)
(分かった。頼んでおく)
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作者名：久遠深ヶ | 作成日時：2017年1月15日 17時
