番外02#十束一族と神凌 ページ36
【十束一族と神凌】
(Side,折)
守篠祈与。
それが俺の本名。真名ってやつだ。
“かみしの”という家名は、
かつては“神凌”と書いたそうだ。
神をも凌ぐ。凌駕する。
そんな意味合いを持たせ、掲げていたとか。
実際、俺が考えるには何一つ神なんか凌げるわけがない。
本家の直系がそんなこと言っていいのか、
なんていう問題は結構どうでもいい話だ。
『祈与様の十束の方々はどういう方たちなのですか?』
「それ知りたい?」
『あっ、言いたくなければ構わないんです。
無理に聞くつもりはありません!!』
「嘘嘘。いいよ、別に。長くなるけどなー」
『はい!!』
まずは【守篠家】。
さっきも言った通り、かつては“神凌”と書いていた。
十束の中でも一番の権力を有していて、
術士のエリートが多い。
神凌なんて名乗っていたせいで、
生贄制度が生まれてしまったのは、
もう今更すぎてどうにもできない。
分家には
俺の身の回りで言えば、
七守は“青藍”と養子の“コウレン”。篠束は“鷹取”がそうだ。
『青藍様については事の収拾に当たりましたし、
鷹取様についてもお話を聞きました』
「“コウレン”か。あれは、元はというと菊花家の分家、
俺の師と同じ家の出身で、
親父の采配で守篠家預かりになった」
『そんなことが……』
「篠馘ってのは訳有りの一族でさ、
人の部分よりも異形の部分が大きいんだ」
『ということは、妖などと混ざっているということですか?』
「そうなる。コウレンに至っては父親が“加州”で、
母親が篠馘の者だ。
俺の師はえっと、父親が“三日月宗近”だったかな。
本人知らないらしいけど」
『え!?』
そうそう。
案外、刀剣男士が父親なこともある。
何か似てるなと思いきや、
祖父がそうだとかもあるあるだ。
『祈与様は純粋な人でいらっしゃるんですよね?』
「んー、恐らくは。
まあ、一説によると神落ちした元神が祖先っていうのもあるから、
はっきりとは言い切れないかなあ。
もしそうだとしても相当昔の話だし、
血なんて薄まりまくってんだろうけど」
実を言うとあんまり信じてない派。
『とても興味深いお話ですね』
(Aの兄弟の話も聞きたいな!)
(いいですよ)
【After story】
(神隠し後のお話)
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作者名：久遠深ヶ | 作成日時：2017年1月15日 17時
