213#記憶と天女 ページ22
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その後は皆で雑魚寝をし、
朝には体がバキバキで折は今剣に跨がられていた。
「あーるじさまー!」
「死ぬ死ぬ死ぬ、ちょっ、今剣!
腹の上でっ、跳ねるなっ……」
「なら、おきてくださいねー」
「わ、分かったよ……」
術の説明は9割終わり、
後は術式を書きながら説明するのみだった。
折の部屋の刀掛の後ろの壁には術がかけられていたが、
それは解かれ、金庫のようなものが納まっていた。
「どーしたもんかなあ……。
“
折が漏らしたその言葉に一期は反応した。
「主、その、“ササクビ”というのは?」
「俺の家の……んー、あぁ。
俺が“
「存じております」
「その十束に数えられる“
俺の家よりも仕来たりがおっかなーい家がある。
其処の第一分家が篠馘家。其処のおひいさんだよ」
折がそう説明すると、一期はギョッとした。
「おひい、ということは姫君で……?」
「表現上の問題。
実際は忌み嫌われ疎まれる存在なんだよ。
すごい好い人なのに。
攻撃術式なんて俺の上を行くし。
好きまあ、とにかく美人で天女みたいな人かな」
幼い頃に数度会ったっきり、それ以降は会っていないのだ。
仕来たり上、彼女の顔を見ることは許されないのである。
「その方にお会いしたいのですか?」
「いや、あの人ならどうするかと思って。
ん? あの人……そっか、そうだ。
一期何かありがと、ちょっと考えてたこと解けたわ」
折はそう言うと自室へと向かって行き、
一期はその場に残された。
「主殿の気を惹く方……か」
(あー、あったあった。これだー)
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作者名：久遠深ヶ | 作成日時：2017年1月15日 17時
