212#揶揄と冷凍庫 ページ21
(Side,A)
「な、な、何のことかなあ……」
『折様、国永様の言う通りですよ!
この期に及んで隠し事は狡いです!』
「……分かったよ。言うよ。怒るなよ?」
「ほぉ、主は俺たちが怒るような悪いことをこそこそとしていたのか」
宗近様がそう言い、折様に向ける視線を鋭くした。
すると、折様は肩をびくつかせ宗近様を見た。
「三日月、その目やめて。すんごい怖いよ」
「はっはっは、冗談だ」
「冗談に聞こえない。
天下五剣のジョークがマジすぎてチビりそうだった」
その言葉に小さな笑いが溢れる。
国永様なんてお腹を抱えて笑っているものだから、
彼のツボは本当に分からない。
するとその時、一姫がふと口を開いた。
「お漏らしなんて短刀の誰でもしないのに」
「ぶっ!!」
「あーのーね、一姫。
比喩と言うか何と言うか、例え話だから。
俺、漏らしたなんて言ってないからな?
鶴丸も笑ってんなよ、まったく……」
「ふーん……。
僕、兄さんたちのとこ行ってきますね!」
「あ、ちょっ、おい! 一姫!!」
いつか国永様は笑いすぎで死にそう、
と思うのは私だけだろうか。
あぁ、ほらまた。
いつもみたいに折様に怒られてる。
『それで、壁に何を隠していらしたんですか?』
「……冷凍庫、というか保存庫?」
「何故疑問形なんだ。折しか知らないのだろう?」
「あ、いや、そうなんだけどさ」
「して、中身は何だ。妖の遺骸でしまいこんでおるのか?」
「んな悪趣味な! 違うって、俺の血液だよ。
血を試験管に詰めて、保存してあんの」
『血、ですか……?』
血、という言葉に二人も反応した。
「にしても何で血なんか……」
「今回の術で使える」
「何だと……?」
血を、術式に……?
ということは――
『血で、術式を書くおつもりですか?』
「そうじゃなきゃ失敗する可能性が高くなる。
俺も死ぬのはごめんだ」
「はぁ……また無茶なことを」
「主、俺たちに出来ることは無いのか?」
「あるよ。術式展開と発動には大きな力が必要になるから、
皆の神気を貰いたい」
(五虎退兄さん、あるじさまが――)
(えっ、それは……)
(何だ何だ)
(あのね、薬研兄さん。あるじさまは――)
(っと……一姫、それは大将の名誉のためにも内緒にしとこうぜ)
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作者名:久遠深ヶ | 作成日時:2017年1月15日 17時