鶴と虎と。終【刀剣乱舞】 (ページ20)

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211#驚愕と奥ページ20

(Side,鶴丸)

誰がこんなこと予想したと思う?

否、普通であるのならば誰もしない。

普通でなくてもしない方が多いだろうが。

「まあ、この術の大まかな仕組みなんだけど――」

「はて……その面妖な道具は何だ。主よ」

「あぁ、これはな……。

　ちょっと霊力の使い方を補助する道具みたいな感じのもの」

折がそう言って手元でくるくると回すのは、

筆のような棒状の道具。

「ふむ、まことに主は勉強熱心だ。

　此処に来たばかりころは少し飛び出したぐらいの術士だったのだが、

　今では地から離れ、天に行きそうなぐらいだな。はっはっはっ」

「……そりゃどうも。

　ま、俺には宝の持ち腐れってやつだと思うけどね」

何が宝の持ち腐れだ。

その才能は折が持つからこそ意味があって、

扱えるんじゃないのか。

「いや、そんなことないと思うぜ、折」

「何故?」

「その才能を持ってして、雛を救ったり、

　幾度も本丸を守った。

　俺たちがお前を守らなきゃいけないんだが、

　俺たちは折に助けられてる」

「イヤだなあ、改めてそんなこと言うなよー。

　な、何かさ、恥ずいじゃん……?」

照れる折も珍しい。

まだ、俺たちから見れば子供だな……。

『折様、白札は……』

「あ、白札か。そうか」

『一応、お部屋にあったものを有りったけ持ってきたのですが』

「うん、大丈夫大丈夫。これで足りるよ。

　今回の術は白札よりも効能高いの使わないと、

　発動が甘くて失敗するような高度な術だからな」

「そんな難しいの本当に出来るのか?」

「俺が出来るって言ってるんだよ、鶴丸。

　出来るって言ったら出来るの」

「何だそりゃ」

訳が分からない自信だが、

彼ならやり遂げられるという気持ちが何処かにある。

嗚呼、今なら折の家の人間たちの気持ちが分かるかもしれんな。

確かにこの貴重な人材を、

神へと捧げる供物にしてしまうには、勿体無いにも程がある。

「あるじさまー」

「はーい?」

「あの、さっき母様とあるじさまのお部屋に行ったんですが――」

「うん」

「刀掛の後ろの壁に何を隠されているんですか
?」

「は……?」

一姫は何を見た……?

(な、な、何のことかなあ……)
(あるじさま?)
(おお、この期に及んでまた隠し事か、折)