209#可能性と協力 ページ18
.
静寂の中、次にそれを破ったのは今剣だった。
「あの、あるじさま」
「ん?」
「その、ぼくたちもあるじさまと、
ずっといっしょにいたいとおもってて。
それで、きょう、
あるじさまにかみかくしのおはなしをきくつもりだったんです」
「! あはは、そっか。だからか。
何となくみんなの様子がおかしいというか、
ぎこちなかったから」
その返答に今剣はギョッとした。
まあ、普段から鋭い折のことだ。
こういうことがあってもあまり不思議ではないのだが、
やはり鋭さのあまり驚く。
「主の了承も得ずに隠してしまうのは、
良くないと思って皆気遣っていたのですが。
杞憂だった、ということですね」
「俺がもっと早く話せばよかったんだな。
いらん気遣わせて悪いな。江雪」
「いえ……」
一期の横で静かにしている一姫は、
ジッと折の口から紡がれる言葉に耳を傾けていた。
そして、時折、控えている己の母を見るのだった。
「父様」
「何かな、一姫」
「母様、ずっと口をつぐんで俯いたままなんです」
「心配することはないよ。
母様にも思うところがあるのだろう」
「なら、よいのですが……」
話を聞かされていた一期にとって、それが予防線となっていた。
彼女がああして悩んでいるのも、そのせいなのだから。
「みんなの意見は全会一致なわけ?」
皆は各々肯定の意を表した。
折はそれに動ずることはなく、
ただ“そうか”とだけ呟いた。
「神隠しとは一柱の神に対して、
一人の者のみにしか行うことは出来ない。
“普通は”そうだろう? 小烏丸」
「あぁ、そうだ。
無理にやり込めばどうにかならなくもないかもしれないがな。
するとなれば主の身がどうなるかは分からぬ」
小烏丸は首を横に振った。
「おっかねぇなあ。ってのは置いといて、
俺が神隠しの手伝いをしてやる」
「はあ? 主、そりゃどういうことだよ。
主がすんげー術士ってのは知ってるけどよ」
和泉守はそう言うと、隣にいた堀川へと目をやった。
「そうですよ、主さん。
無理をするようならやめて下さい」
「いやいや。それが出来ちゃうかもなんだよなあ。
Aと力を合わせれば、な」
『!』
折は振り返り、
Aの肩に手を回すとそう言って笑うのだった。
(ま、待て一期!)
(何をなさるのですか、鶴丸殿)
(いつからそんなに君は嫉妬深くなったんだ!)
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 161人がお気に入り
お気に入り作者に追加
「刀剣乱舞」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：久遠深ヶ | 作成日時：2017年1月15日 17時
