207#十束と守篠 ページ16
(Side,Nothing)
所変わって、時の政府。
「前々から話には聞いていましたが、いざとなると……」
「“守篠家”関連の家は、
こういう風習が根強く残ってるから仕方無いわ」
折の担当官、古嶋とその上司である飛高。
二人の目の前に広げられた資料には真新しいものから、
黄ばんで古くなった書物まで様々なものが陳列されていた。
「これは折審神者が一番最初、審神者になる時に、
彼のお婆さんから政府に宛てられた手紙らしいの。
彼女も優秀な審神者だったそうで」
「“だった”ってことは途中でやめたんですか……?」
「引き継ぎはしたと報告書にあったわ。
守篠の分家に当たる家柄の方にと」
飛高が手に取った書類には、
確かに引き継ぎ先の審神者の情報が記され、
現在も稼働中との表記があった。
「第一、“守篠”って一体何なんですか。
俺何も知らないんですけど」
「表沙汰にはならないから、知らないのも仕方がないわ。
あの家は代々神に仕えてきた、
清い身分を持った神職を生業とする一族の末裔。
……私も、“十束”に数えられる家の出身だけれども――」
飛高がそう言った瞬間、古嶋は唖然とした。
「はっ!? 飛高……さん、十束の一族なんですか!?」
「あら、言ってなかったかしら」
「言ってないです。聞いてません」
「まあ、私は切り捨てられた身分だけどね。
もう本家に戻るつもりもないし」
飛高は何かを誤魔化すように、
にこりと笑うと他の書類を手に取った。
「……十束の10家、知ってる?」
「いや、折様の“守篠”と今知りましたけど、
“飛高”さんのとこしか」
「まぁ、そんなものよね。
十束はね、
「如何にも、って感じの名前ばかりですね」
「それで、術士の名門といえば守篠ってこと。
私のところはそれと比べると……まあ、
大したことはないかな」
そして、重い仕来たりを持つのが守篠家。
古より続く風習が未だ根強く残っているのだ。
しかし、神と密接な彼らにとっては大切なことであった。
(鵜枇家と爻原家は怖い人多いのよ)
(爻原……って、あれ、地区長!?)
(正解!)
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作者名:久遠深ヶ | 作成日時:2017年1月15日 17時