さよならにブライダルベールを添えて。2

＊ ページ31

貴方side



『成る程。怪我した腕を掴んで注意を反らした後
スタンガンで気絶させて連れてきたって訳か。』



？「あらぁ、目が覚めたようねぇ」



…ねっとりとした声。この声は、まさかっ！



『誰？』



？「はあ！？忘れたの！？英子よ！」



あ、Aちゃんか。零のことが好きな女の子。
んでその後ろにはBちゃん、Cちゃん、Dちゃん。
それからAちゃんの隣に男子が二人。

見覚えがあると思ったら、
こいつら僕を拉致した奴等じゃんか。



『それで、僕を拉致して何の用？』



B「っ、その済ました顔が腹立つのよ！」



いや、理不尽かよ。

Aちゃんは横にいる男子二人に僕を指差して
"殺っちゃって"と命じる。

っておいおい、漢字違うだろ。
それ殺すって意味な？分かってやってるの、こいつ。

男子は僕に近づくと



ﾄﾞｽｯ!



『っう"！』



僕のお腹を蹴った。しかも結構本気で。
鳩尾近くに思いっきり入ったな。
いっこうに咳が止まらない。

というか、頭で冷静に考えてないと
意識を持っていかれそう。



ｺﾞﾝｯ!ﾄﾞﾝｯ!



その後も男子の足は止まることがなく
僕は身を少しでも小さくして固めることだけ。

顔を蹴られて口から血が出た。
口のなかが血でいっぱいになる。



『ｯ、けほっ、いったいなぁ、もぅ…
蹴るしか方法ないわけ？』



D「っ！もう、"あれ"殺っちゃって！」



いや、あれってなんだよ。あれって…

僕をいきなり持ち上げた男子は、
そのまま歩いて…って、ちょっと待って！？それは…



ﾊﾞｯｼｬﾝｯ!



『っ！？』



僕をプールの水が入った浴槽に落とした。



『んっく…』



突然のことに思わずプールの水を少し飲んでしまう。
でも、男達が頭を押さえているから息も吸えない。



『んんっ、ん、ふっ…』



もがいても、もがいても男達は僕を押さえつける。
それがどうしても"何をしても無駄だ"と言われてるようで。



『(息が持たな…)』



ｻﾞﾊﾟｧ!



『げほっ、えほっ、かはっ…』



ヒューヒューなる喉。
水中から出たはずなのに、うまく息が吸えない。



C「きゃはは！かわいそー笑笑」



A「自業自得よ！あはは！！」



D「不細工ね、その顔！ざまあって感じぃ！」



B「うっわ、気持ち悪ーい！！」



その様子を見て嘲笑う四人。
でも、今の僕にそれを気にする余裕はない。

息が整う暇もなくまた男子に殴られて
そのまま浴槽に突っ込まれる。



それを繰り返していく内に、
疲れた僕は抵抗することをやめた。

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