さよならにブライダルベールを添えて。2

＊ ページ29

貴方side



え、僕誰にもいわずに来たよね？
あの四人に呼び出されたなんて皆に言ってないはずだよ？



『"お話"があったんだって。
大丈夫だよ、何でもないから心配しないで。』



大丈夫。何でもない。
皆は巻き込まれないでいいんだよ。

だから、これ以上は聞かないで。



ｷｰﾝｺｰﾝｶｰﾝｺｰﾝ



ちょうどタイミング良くなったチャイム。



『ほら、授業始まるよ。』



話を強制的に終了させて席につく。

皆もしぶしぶ席についたけど、
やっぱり納得してないみたいだ。

まあ、僕はなにも教えないけどね。







…
……








萩原「ねえ、柚月ちゃん。本当に何でもないの？」



『何でもないよ、大丈夫。』




＿
＿＿





諸伏「じゃあ聞くけどさ、柚。
大丈夫なら何で火傷してるの？」



『ちょっとミスしちゃっただけだから。』




＿
＿＿





松田「ただの火傷なら何で隠す必要がある？」



『知られたくないこともあるんだよ。』




＿
＿＿




降谷「…もしかして、あの女達にやられたのか？」



『勘がいいのは時に厄介だね。』








…
……








『疲れた。』



べたぁって効果音がつきそうなほどに食堂の机に張り付く。

目の前に座っているのは苦笑いする伊達。
唯一僕に質問攻めしてこなかったからいまは伊達が逃げ道だ。



伊達「あいつらも柚月のこと心配して言ってるんだぞ？」



あのあと、すれ違う度に質問されて
ひたすら交わしたりしてたから疲れた。

零に至っては当たってたし。

勘のいい子は嫌われるって言われるでしょ。
僕は嫌いじゃないけどこういうときは面倒。



『わかってる。
でも皆を巻き込むほどのことじゃない。』



伊達「一人で抱えないで頼って巻き込んでほしいんだよ、
俺もあいつらも。」



『自ら面倒事に突っ込んでいくの？』



伊達「お前の面倒事なら嫌な顔はしないと思うぞ。」



そういうことじゃないんだよな…

だって、なんか甘えちゃうじゃない。
あんまり迷惑とかかけたくないし。



『でも、大丈夫だよ。』



遠くから"柚月たん！"と聞いたことある呼び方。
この呼び方をするのは栞菜だけだ。



『心配してくれてありがとう。』



それだけ言うと伊達に手を振って栞菜の所へ向かった。



一人残された伊達が



伊達「大丈夫って言ってる時ほど大丈夫じゃないって
俺を含めてあいつら知ってること。

柚月は気づいてないんだろうな…」



何て言ってたことを僕は知らない。

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