さよならにブライダルベールを添えて。2

＊ ページ27

貴方side



『痛い…』



今さら遅いかもしれないけど取り敢えず冷やしてみる。
冷たいし痛いし染みるしで辛い。

反対の手で内ポケットにある携帯を取り出して
"あいつ"に連絡を入れる。

数回コール音がなったあと"あいつ"は出た。



？「はっろー！柚月たん。どーかしたぁ？」



『たん呼びやめろ。』



僕はアイドルかなんかか。



？「え、たん呼びはうちの特権だから嫌だ。」



『もうなんだっていいよ…

取り敢えず調理室に来てくれない？
勿論あの五人には内緒で。』



？「あいなー！」



ぷつっと切れた電話。

さて、壊れたボイスレコーダーをどうしようかと
頭を悩ませてると、ばたばたと廊下を走る音と
"廊下を走るな"って教官の声。

相変わらず来るの早いな。



？「おっまたせぇー、愛しの柚月たん！

…ってあ！それどうしたの！？火傷！？痕残っちゃう！？
柚月たんにこの仕打ち…許さん。」



いや、色々突っ込ませてくれ。

"愛しの"ってなんだ。"愛しの"って。
てか火傷に対してどれだけてんぱってるんだよ。



『何でもいいから、ほら保健室行こう。』



？「あいなー！」



人通りの少ない廊下を歩き、保健室までいく。
その途中で"あいつ"に事情を説明。

案の定いつも持っている折り畳みナイフをもってどっかに行こうとしたから止めた。



『失礼します。あ、森さん。』



白一色の室内で白衣を着た女性が一人。
この保健室にいつもいる保健師の森さん。
くるりと回った椅子によって長めの白衣が
ふわりと持ち上がる。



森「いらっしゃい、どうしたの？
君がここに来るってことはまたヤンチャ？」



『森さんは、僕をなんだと思ってるんです？
ここに来る=ヤンチャみたいな方程式やめてください。』



あ、でも確かにヤンチャしたらここに来てるわ。

でもいつも絡む側じゃなくて絡まれた側だから。
僕悪くないもんね。



森「その手、火傷したのね？
自分で？それとも誰かにされたの？」



『実は((？「柚月たんが苛められたんです！」

…あのなあ、僕の台詞に被せるなよ







栞菜』



"えへっ"てやってるけど可愛くないからな。←



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外崎 栞菜(そとざき かんな)
柚月のことを"柚月たん"と呼ぶ変人。
自称"柚月たんの旦那"。

「柚月たんは嫁だから！」



森 宇津見(もり うつみ)
警察学校の保健師
最近の悩みは名前も名字に間違えられること。

「ヤンチャするのも程々にね。」

＊→←追憶。【王道は本当にあったのだ。】

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