泣くほどお互いが好きだった ページ24
お母さんと離れたくない子供のような泣き顔に、私までつられてしまった
風に吹かれた紅葉が私の頬を撫で、濡れて、海へ落ちていく
『きぎだくない"でず！！ ヴァーチェざんのい"い"だいごと全部わがっ…ぁり"ばずから！
全ておあ"っだら帰ってきばずよぉ！！ もう口……閉じてっ…ください！
お別れの言葉なんて聞きたくない…っ！ 寂しいよぉ…』
叫んだ
恥ずかしさなんてなかった
ただ私の中にはヴァーチェさんとの思い出が蘇っていた
最終的に私は「寂しい」を繰り返していたんだと思う
息も絶え絶えになりながら鼻水と涙でグズグズに破顔する私は、実に滑稽だっただろう
ヴァーチェ「……っ」
「あーぁ、お前ら師弟はよく似てんな。本当は腹違いの兄妹なんじゃねぇの？」
私の悲鳴にも聞こえた叫び声を聞いたヴァーチェさんも号泣し始め、おじさんは目も当てられないようだ
『くっ…！』
私は耐え切れなくなって、腕を思いっ切り海に突っ込んだ
何に耐え切れなくなったのか、自分でもよく分からない
ただ、これ以上この場所に留まっていたらきっともう、辛くて何も出来なくなる
覚悟したんだ、それだけは嫌にきまってる
腕を入れた海には、雨じゃない何かの波紋がポツポツと交わっていた
『
波は、私を攫った
いや、攫わせた
ヴァーチェ「あ！ 体力の無駄使いだって言ったのに…！」
知ってますよ
『うるさい、師匠！！ さよなら とか言いやがったら帰ってきてやりませんよバカ！！』
ヴァーチェさんがどんどん小さく見えてくる
ぼやけないで、しっかり見なさいよ泣き虫A！
「ははっ。なかなか泣けるじゃねーか、Aちゃんよォ…。
おら、なんか言ってやんな。ししょーさん。大事な弟子の船出だぜ？」
ヴァーチェ「……っあぁ、もお！！ 最後まで憎まれ口叩くじゃねぇよ！！
可愛くないバカ弟子め！
くそっ…。いってらっしゃい、A！！！」
「死ぬなよ、Aちゃん」
『いってきます……師匠！！！』
赤い赤い紅葉も見えなくなった
声は掠れていた
￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣
船は波任せに進んで行く
止まることはない
『師匠、私に力をくれてありがとうございます。
見ず知らずの私を助けてくれてありがとうございます。
…最後まで言葉に出来なくてすみませんでした』
少女の涙は止まらなかった
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蒼海(プロフ) - すごく気になります！！！更新頑張ってください！応援しています！！ (2021年12月25日 23時) (
レス) id: 34a1071b4a (このIDを非表示/違反報告)
にゃあ - 凄く気になる所で終わった！このままにしたら許しませんよ！！ (2020年9月12日 11時) (レス) id: 91b3f57d74 (このIDを非表示/違反報告)
雪夜乱気(プロフ) - 気になるー更新待ってます (2019年9月12日 13時) (レス) id: 6c646fcda2 (このIDを非表示/違反報告)
チイナ - とても面白いです！続きが気になるので更新待ってます！頑張ってください！ (2019年1月4日 7時) (レス) id: f759a37db1 (このIDを非表示/違反報告)
イゾウRAVU - とっても面白いです!!これからも頑張ってください！更新待ってます！ (2018年12月5日 21時) (レス) id: 0e771d3d36 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蛍ノ茶 | 作成日時：2016年10月22日 20時
