Fatezero/FANTASIA (ページ5)

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第二話中編ページ5

「まず状況を確認しよう」
少し小さい部屋の中、床に胡坐をかいて向かい合う男女
「私のマスターは直接の戦闘は苦手、ってか魔術は平凡。で、工房を作る場所も資金も無し。ねぇ、何で聖杯戦争に挑むのにこんなに不手際なの？」
黒髪の女性、現在は学生服を着用している彼女が顎に手を当てて考え込む様な仕草で目を伏せる
「う、うるさい！そんなこと言ったらお前は真名を明かしても正体が分からない知名度最低のサーヴァントじゃないか！」
深い緑の髪の少年が少しムキになって言い返す。そう、何を隠そうこの英霊は英霊と呼ぶには知名度が恐ろしく低いのだ。少なくとも、まだ一学生とはいえ魔術を学んでいるウェイバーが真名を聞いても心当たりがない程度には
「はいはい。まぁ、多分他のマスターと比べれば私達の環境は最悪だろうね。マスターは平凡、サーヴァントは知名度皆無、拠点だって無い」
少年の言葉を適当に受け流して議論の結果をまとめる。召喚された時からどこかおどけている面が散見されるが、根はやはり真面目なのかもしれない
「そう言うなら何でお前は笑ってるんだよ……」
唇を尖らせて抗議する少年。実はこのサーヴァント、先程から目を伏せて微笑んでいるのだ
「だってさ、こんな最悪な状況なんだよ？命懸けの戦いに挑むのに戦力も環境も最悪、万に一つも勝ち目が見えない」
「なら何で」
「そんな状況で逆転勝利したらさ、サイッコーにかっこいいじゃん！」
少年が息を飲む。そうだ、これ以上不利な状況もない。ならばこの状況で勝てば、誰もが自分を認めるはずだ
「ウェイバー、マリア、風呂が沸いたぞ」
ちょうどその時、老人が部屋に入ってきて入浴の時間を告げる
「あ、はーい。ウェイバー、先に入っていいよ」
「あ、うん。姉さん」
自身のマスターが入浴に向かう姿を見送り、一人筋トレとストレッチを始めるサーヴァントであった