Fatezero/FANTASIA (ページ2)

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第一話聖杯の寄る辺に奇跡は降り立つページ2

ウェイバー・ベルベットは驚愕した。彼は確かにマントの切れ端を縁としてサーヴァントを召喚した、しかし目の前にいるソレはマントなど身につけていない
「ふわぁぁ～……あふっ。ん？私は召喚されたのかな？」
見に纏うのは漆黒のライダースーツ。グローブの袖との隙間に見える手首は白く、細い。背中に流れる髪は炭のように黒く、月光を受けて艶やかに煌めく
「お、君が私のマスターかな？やぁ、少年。君は恐ろしく運がいいね？サーヴァント、ライダー。召喚に応じ参上したよ、君に栄光と勝利を」
少年より背が高いそのサーヴァントは、どこからどう見ても大学生だった
「どうした少年、鳩が豆鉄砲くらった様な顔をして。あれかな？召喚してみたらこんなうら若く美しい乙女で驚いてるのかな？」
驚きを隠せないまま、ウェイバーはソレに訊ねた
「ほ、本当に僕のサーヴァントなのか？」
彼が師から強奪した聖遺物はマントの切れ端、当然マントを纏っているはずである。にも関わらず彼女はマントなど身につけていない。しかも英霊とは読んで字の如く英雄の魂である、多少の差はあれど何らかの伝説や伝承に登場する場合が多数。しかし、彼女はどう見ても現代人そのもの。彼の不安はつまりこうだ、僕はもしや、召喚に失敗して変なものを呼び出してしまったんじゃないか
不安げな少年を見ながら彼女は答える
「もちろんサーヴァントだよ。君の左手には令呪があるし、君と私にはパスが繋がってるじゃん」
確かに彼女の言う通り、令呪もあればパスも通っている。ではマントはどうなるのだろう、もしかすると使用する場合に出現する類いのものかもしれない
「お前、これに見覚えはあるか？」
触媒としたはずの緋色の切れ端を見せるウェイバー、しばらくまじまじと見つめてからサーヴァントは
「紀元前300年台の代物だね、かなり上質。でも見覚えがあるかって訊かれるとNOかな。サーヴァントにその質問をしたってことはそれは聖遺物？だとするとアレクサンドロス三世、つまりイスカンダル辺りのものじゃないかな？」
と、しれっと答える。頭を抱えるのは当然マスターであるウェイバー
「なんだよそれ！じゃあ本来なら大英雄を召喚してたはずだったって言うのか！？」
今まで明るく笑っていたサーヴァントに始めて怒りの色が薄く現れる
「何よ、私じゃ不服だって？その言葉忘れないでよ、後で土下座して訂正させてやる」