. ページ31
静かに、けれど確実に近づいてくる人の気配に、私は息を呑む。
漸く、実感した。
これが聖杯戦争というもの、これが魔術師の世界に巻き込まれるということ。
知識としては有った。
当たり前だ、Fateは私の唯一胸を張り、確信を持って好きだと言えるものなのだから。
非道な手段を取る勇気も有った。
私は、私自身が飢えた醜い獣なのはよく知っているのだから。
……でも、覚悟が、無かったのだ。
恐怖からか、アーチャーのマントを掴む手が小刻みに震える。
「……マスター、深呼吸をして落ち着くと良い。大丈夫……君が私の後ろにいる限り、私は負けんし君を殺させはせん。」
アーチャーはそう言うと、少しだけ表情を和らげて私が掴んでいたマントを肩にかけてくれる。
「……うん、信じてるよ、アーチャー。」
少しアーチャーの温度が残っているマントをぎゅっと強く握り、頷いたのとほぼ同時に、凄まじい音がして砂煙が起こる。
どうやら前方の壁が壊されたらしい。
コツ……コツ……という足音共に、人影が表れる。
「さぁ、鬼ごっこは終わりにしましょうか……。貴方、どうやってそのコをマスターに仕立て上げたのかしら。どうやって魔術師の世界に引き込んだのかしら＿＿キリキリ吐いてもらうわよ!!」
そんな言葉と共に現れたのは、腰までありそうなほどの長さを高い位置で無造作に纏めた金髪と、海のように綺麗で透き通ったな碧眼を持った男性だった＿＿＿＿……って待って？このお兄さん、今女言葉というかオネェ言葉使わなかった!?
「……えーと、知り合いか、マスター？」
「いや……誰？」
思わず毒気は抜かれ、緊張感は解されてしまった私達は顔を見合わせる。
こんなイケメンかつ声が緑〇光っぽい人なんて知りませんが!?
まぁ身体的特徴だけで言えばまぁ私も金髪碧眼だし、共通点はあると言えばあるけども。
「あぁ……そうね、自己紹介よね。ごめんね、“Aちゃん”。」
「……!!」
アーチャーは私の名前を呼んでいないはずだし、自己紹介だってしていないはずなのにさらっと私の名前を呼んだその人に、私は再び警戒の色を強める。
……どうして、この人は私の名前を知っているのだ。
「あたし、
私と同じ苗字を名乗るその人は、依然として華やかな笑顔を顔に浮かべていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 71人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
セツナ(プロフ) - 推しが推ししてる。この状況になったら尊死するしかない (8月31日 10時) (
レス) @page10 id: 2ea77c9340 (このIDを非表示/違反報告)
キラ(プロフ) - 初コメ失礼します。凄く面白くて、めちゃくちゃ好きです！！続き待ってます！！ (2022年1月1日 23時) (レス) @page40 id: b207c7ff5b (このIDを非表示/違反報告)
minto(プロフ) - こんにちは！最近読み始めたのですが、序盤のエミヤくんが可愛すぎて悶えてました 。 まだ全てを読んでいないので分かりませんがこういうシーンをもっと増やしてくれると嬉しいでs((((( (2021年9月8日 15時) (レス) id: bfa34b5595 (このIDを非表示/違反報告)
業猫(プロフ) - ロゼファさん» コメント＆応援ありがとうございます、私もなりたいです(笑)子ギル君良いですよね〜〜!!FGOでの大人のギル様達に対する反応とか可愛いなぁって思います……(笑) (2021年1月10日 18時) (レス) id: 3f4322bc19 (このIDを非表示/違反報告)
ロゼファ(プロフ) - こんにちは私も推しのマスターになりたいです更新頑張って下さいちなみに僕の推しは子ギルです(聞かれてない) (2021年1月10日 18時) (レス) id: f43344f619 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：業猫 | 作成日時：2020年12月15日 1時
