【Fate】推しのマスターになりまして。【赤弓】

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私はコンビニめざしてとことこと歩いていた。

理由は勿論、魔法のカードを買うため。

明日は7月30日……それ即ち、FGOの福袋＆周年鯖実装の日！

私の一番の席はアーチャーで埋まっているので推しが新たに増えることは無いが、アーチャーをより強くするためのサポーターは必要なので、今回の福袋もマーリン狙いで引く。
因みにちゃんとアーチャーは宝具5だし、何なら無意味に分裂体も作り始めてます。

これが推しが恒常であることの最大のメリットだよね。

なんて思いつつ、今年こそマーリンを引けるように祈っておく。
前回は孔明が来て発狂しかけ、通話していたフォロワーさんにゲラゲラ笑われたのは割と記憶に残っている。
……ま、是非もないよネ！

「えーっと、確かこの路地裏行ったら近道なんだよね。」

そんな事を考えながらひとりごとを言い、人気のない路地裏に入ったところで、幻影が表れた。
言うまでも無い、アーチャーだ。

「……フ。ここなら人目を気にせず話せる。流石私のマスター、実に合理的だ。」

……最近暑いからな。
暑すぎて幻影が見えるどころか、幻聴まで聞こえるようになったらしい。
或いは、たまに支部を漁ってたらいつの間にか徹夜してた……みたいなことがあるのが原因かもしれない。

うんうん、と頷き、そのまま無視することにする。

だって私はあくまでオタク。
幻影とはいえ、推しと会話するとか解釈違いだし。

「なっ。何故無視する。私を無視するとはいい度胸だな、マスター？」

苛立っている声。
最近の幻聴は感情まであるらしい。
いやーー、幻聴も時代に応じて進化してるんだね。
ヤバいっすわ、幻聴パイセン。

「マスター……？もしかして、私の声が聞こえていないのか……？」

今度は今にも泣きそうな声。
幻聴パイセン、感情変えてきた。
ヤバすぎないか、パイセン。

「ま、ますたぁ……？」

私のブラウスの袖を掴まれた感覚に反射的に振り向けば、そこには涙目で不安げな表情を浮かべている推しが居て、私は硬直する。

……M A J I K A Y O。

幻影でも幻聴でもありませんでした。
これ夢？

頬をつねってみる。

「いった！！！いったぁ！！！！」

痛い。超痛い。
どうせ夢だろ〜〜とか思って全力でするんじゃなかった。手加減すればよかった。

ってか、これ現実なら私今まで推しを無視しつづけてたのでは？？
それまじ不敬過ぎない？
私の進路の決め手、推しなのに。

「え、えーと……ごめんね、エミヤ。」

私、推しに謝ってみた！

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