Family〜守るべきもの〜＠リクエスト受付停止中

理由　●mihoさんリクエスト ページ19

〜智side〜

　３年前、会社の重役だった俺たちの親父は突然の心臓発作であっけなく逝ってしまった。

俺が最初に研修医として働いていた大学病院に運び込まれたときにはすでに手遅れの状態だったそうだ。

突然の出来事に呆然としつつようやく全てが片付いた頃。

俺が勤める松岡クリニックの前に、ドラマのワンシーンみたいに小さなゆりかごの中で力なく目を閉じる赤ちゃんが放置されていた。

生まれたてみたいに小さくて、血の気の失せた顔色に慌てて抱き上げてクリニックへ駆け込んだ。

「・・さと先生・・これ・・。」

院長の松岡先生の指示で急遽大学病院への搬送が決定し、準備が一段落して救急車の到着を待っている時。

当時はまだ新人だった看護士の斗真が遠慮がちに白い封筒を俺に向かって差し出してきた。

”大野智さま
この子は貴方の弟です、どうか助けてやってください
名前は翔といいます。
私と慎さんの子供です。”

同封されていたのは母子手帳の写し、でもほとんど記入されていない。

どうしてか分からないけど・・嘘だとは思わなかった。

こんな言い方はおかしいかもしれない、でも言うなれば俺は翔に一目惚れしてしまったんだから。

この子を守りたい・・無条件にそう思った。

だからなんのためらいもなく俺は翔を引き取ることに決めた、弟たちが反対したら家を出る覚悟で。

でも誰一人反対する奴はいなかった、俺と同じ・・きっとみんな無条件に翔を守りたいと思ってくれたんだと思う。

血が半分しか繋がっていなくても・・いやたとえ全く繋がっていなかったとしたって、それが何よりの証拠。

翔は俺たちが絶対に守る、それは兄弟４人の何よりも大きな約束になったんだ。

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