星のカービィトリップ小説--第一章--トリップの魔法--

3-4. 笑顔美人 ページ26

私達はカービィの家に向かうと、村人達がカービィの家を囲うように立っていた

「カービィを追い出せ…」

村人達は唸るように言っていた

「みんな！」

フームが村人達の注意を向ける

「この枕には秘密がある！」

私達はメタナイトの言葉を合図に枕を宙に投げた

メタナイトは枕を斬ると、可愛らしい丸い生き物が出てきた

村人達はその生き物を見て、正気に戻った

「何なんだそいつは？」

村人の質問に対して、メタナイトは冷静に答える

「こいつは夢魔獣ノディだ」

「ノディ？」

「ノディは夢を見せる魔獣だ…だが、著しく悪い夢を見させるのだ」

(だからか…)

私は半目開きでノディを見つめる

いつの間にかノディが山のように積み上がっていた

その瞬間、ノディ達は森の方に駆けて行った

(カービィは！？)

まず、カービィが心配になった

もしかしたら、悪い夢を見ているかもしれない

「私、カービィの様子見てくる！」

「待って葵！」

私はカービィの元へ走っていった

すると、トッコリが出てきた

「心配ご無用、カービィは悪夢なんてみてねぇよ」

「どうして？」

「枕をしなかったからだよ」

「よ、よかった〜…」

私はふぅっ…と息を整えてカービィの元へ寄った

デデデはその事が気に食わなかったようだった

「残念ゾイ…！」

「本当に小癪なやつでゲス」

すると、デデデは夢枕を掴んだ

「ならば、この夢枕を試してみるゾイ」

「や、やめてください！」

私は必死に止めようとしたが、遅かった

カービィが魘される声が聞こえた

「ぅっ…うっ……ぽよっ！」

カービィは起きて、家を飛び出した

その姿を見てフーム達や村人達が笑っていた

なぜか、私もみんなの笑い声に釣られて笑った

「…ぷっ…ふふっ…あははっ！」

笑いすぎてお腹が痛くなるのがわかった

すると、みんなの笑い声が聞こえなくなり、私の笑い声しか空気に響かなくなった

「え？…どうしたのみんな？」

するとフームが話し始めた

「葵…」

フームは目を輝かせて言った

「笑顔が可愛いわ〜！」

「わっ！そ、そうかな…？」

可愛いと呼ばれるなんて久しぶりだから、照れる

するとフームの後ろの方…つまり村人達から声が上がった

「笑顔美人だ！」

「一枚写真撮ろう！」

「アイドルがいた！」

私の顔はより一層赤く、熱くなった

村人達の声は太陽の光が出てくる時まで止む気配はなかった

　
「卿…どうしました？」

「…いや何でもない」

騎士はマントを翻し去っていった

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