求めあった最後には… (ページ16)

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偽りの祝福で幸せを願うから　Ⅳ ページ16

神父［新郎よ、汝は…］

snr「はい、誓います。」

神父［新婦よ、汝は…］

夢那「はい、誓います。」

神父［それでは、誓いのキスを…］

夢那の友人としてきた、この挙式。

彼女のベールをめくるとき、センラ“くん”と目があった。

そのとき、何故か動けなくなった。

すぐそこに彼はいるのに…その彼は別な人と一緒になる。

あのとき…私が分かれるのを嫌と伝えていれば…

ゆりか「あそこに…いれたかな…」

二人が重なったとき、私は涙を流した。

その後は、立食が行われあっという間に式が終わった。

私は誰よりも先に早く帰ろう、そう思った。そしたら、後ろから呼ばれる声がした。

snr「ゆりか！待って、話…」

ゆりか「うん、いいよ。」

snr「今日は、ありがとうな。来てくれて。」

ゆりか「もちろん。」

そうやって優しく微笑む彼を、今だけ恨ませてほしい。

会いたくなかった。また、気持ちが募って溢れ出してしまうから。

そんな思いは届かず、彼は手を出していった。

snr「これ、あげる。」

ゆりか「え…これって…なんで…？センラくん…」

snr「それ、捨ててたやろ。せっかくの印やったのになぁ…てか、もう、前みたいに名前呼んでくれへんの？」

手の上には、過去に私が捨てたであろうセンラくんとのペアリング。

彼はからかうような顔して、私に言った。

そんな彼を見て私は…

ゆりか「ありがとう、センラ。愛してたよ。」

snr「…うん、ありがとう。」

ほら、また優しく微笑んだ。その笑顔が、私にとってはただの邪魔者だ。

ゆりか「夢那を…幸せにしてね。今までありがとっ…」

snr「泣かんといて。ほんまかわらんなぁ、泣き虫。」

ゆりか「うるさいっ…ばか…」

涙が止まらない。そして、溢れ出す気持ちも止まらない。

もう、やけくそだ。余裕ぶる彼に向かって

ゆりか「結婚おめでとう。これからも…誰よりも愛してるよ、センラ。」

snr「え？んっ…」

偽り。真実。すべてを含めた思いを、彼の形の良い唇へ…

求めあった最後は…

いや、最後まで求めあっていた。