偽りの祝福で幸せを願うから �� ページ15
センラくんを恋人同士だったときによく来ていたカフェに呼び出した。
待っている時間、とても長く感じた。
snr「ごめん、またせた。」
ゆりか「んーん、大丈夫。あのね、センラ…」
snr「…？名前…」
ゆりか「やっぱり…センラのこと諦められない…」
snr「え、なんて…」
ゆりか「いけないことだって…わかってる…！まだあのときのこと忘れてない自分もくだらないってわかってる…だけどっ…」
とぎれとぎれに気持ちを伝えた。その代わり彼に合わせる顔がない。
式を目前に控えた彼に…そんなこと言う自分が惨めで、情けなくて…
snr「ゆりか…こっち、向いてや。」
ゆりか「いやだ…こんな…」
snr「いいから。」
彼の方を、渋々向いた。優しくて、温かい…告白して、付き合ったときと同じ笑顔。
私の、大好きなセンラの笑顔。
snr「俺も、ゆりかのこと愛しとる。今も、前からずっと愛しとる。…やけど、親が決めた相手やねん、夢那は。」
次第にセンラの目には涙がたまり始めた。
snr「できるなら…ゆりかと一緒になりたかった…あんただけを愛したかったっ…」
ゆりか「せ、んら…」
ついに、彼は涙をこぼした。音も立てず、静かに。
snr「ごめんな、こんなみっともない姿…もう、帰るわ…」
待って、行かないで。
だけど声が出なくて…
ゆりか「っ…。」
出たのは、彼を引き止める手と…
ゆりか「センラ、もう、カラダの関係…終わろ…？もう、他人同士に…」
snr「なんで…もう、会えへん…やん…」
ゆりか「あなたは…夢那を幸せにして。それじゃあ、ね…ひきとめて、ごめん…」
偽りの、言葉。
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作者名：幸葉 | 作成日時：2019年7月19日 0時
