今度こそ01 ページ27
会議が終わり、エリが置かれている状況もわかって。
Aたちインターン生は、ロビーに集まっていた。
「そうか。そんなことが……」
出久、通形、そしてAがエリに会ったこと。それを話すと、自然、その場の空気が重くなる。いつもは底抜けの明るさで周囲を元気づける通形も、この時ばかりは俯いて黙りこくっていた。
「悔しいな……」
切島の一言。短くも、それは3人の心情を的確に表している。エリとの出会い。そのときとった行動には、後悔しかなかった。
「……通夜でもしてんのか」
「！ 先生っ」
そこへ、エレベーターから相澤が降りてきた。
「あ、学外ではイレイザーヘッドで通せ。いやァしかし…今日は君たちのインターン中止を提言する予定だったんだがなァ……」
「！？」
その場の全員が驚きに目を見開く。今更なんで、と切島が立ち上がって叫んだ。
「連合が関わってくる可能性があると聞かされたろ。話は変わってくる。特に……語部、お前だ」
「！」
「一度拉致されてるお前と連合を関わらせるのは不味いからな」
「そんなっ……！」
相澤の言うことはわかる。けれど、このまま引き下がるなんて、それこそ後悔しか残らない。
「……だがまァ、俺が止めたとこでムダだってのが、あの場でわかっちまったよ」
深く深く、相澤はため息をついた。
「『悔しい』って気持ちは、ある意味最強の原動力だからな」
「せんっ………イレイザーヘッド、じゃあっ」
「妥協案だ。お前は俺の監視下にいろ。危険だと思ったら、縛り上げてでも退いてもらう」
「……！ はいっ！」
いつもの相澤なら、合理的でないと強制的にインターンを終わらせたかもしれない。けれど、彼はAの気持ちを鑑みて、お互いが納得できる形にしてくれた。いやきっと、相澤の方はかなり譲歩しているはずだ。
「ありがとうございます！」
「いいよ……。あと、緑谷」
「は、はいっ」
「お前も……残念なことに、ここで止めたらまた飛び出してしまうと、俺は確信してしまった」
その言葉に、出久もAもはっとする。あの神野での夜……勝己とAを救けだそうと行動した、そのことを指して相澤は言ったのだ。『正規の手続きを踏み、正規の活躍をして信頼を取り戻してくれるとありがたい』と。
けれど、未だその『信頼』は取り戻せていない。目の前に困っている者が、傷ついている者がいれば何を顧みることも無く飛び出してしまう。そんな出久の本質を、相澤はわかっていたのだろう。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 595人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
SangriA(プロフ) - KAREN(´･ω･｀)さん» コメありがとうございます！面白いって言ってもらえてすごく嬉しいです！そして長いのに一気読みお疲れ様です…！これからもよろしくお願いします！ (2018年11月12日 22時) (
レス) id: f00caaebcb (このIDを非表示/違反報告)
KAREN(´･ω･｀)(プロフ) - 今日最初から一気読みしました！めちゃくちゃこの作品面白いですね！途中ニヤニヤしちゃう時があって（笑）これからも更新頑張ってください！楽しみにしてます！ (2018年11月11日 23時) (レス) id: deeddcab94 (このIDを非表示/違反報告)
SangriA(プロフ) - まなまなさん» コメありがとうございます！長いのに一気……ありがとうございます！更新頑張ります。栄養士もよろしくお願いしますー♪ (2018年11月5日 21時) (レス) id: f00caaebcb (このIDを非表示/違反報告)
まなまな - 一気に読んでしまいました！更新大変かもしれませんが、頑張ってください(*^^*)轟くんの栄養士の方も楽しみにしてますd(^_^o) (2018年11月5日 16時) (レス) id: 554649d889 (このIDを非表示/違反報告)
SangriA(プロフ) - 亜純さん» コメありがとうございます！すごく嬉しいです…！更新がんばるのでこれからもよろしくお願いします！ (2018年11月4日 18時) (レス) id: f00caaebcb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：SangriA | 作成日時：2018年10月31日 23時
