独占欲01 ページ39
エンデヴァーらが脳無と戦った、その二日後。
「焦凍、お家の人どうだった？」
「久しぶりに夏兄…兄貴に会った。姉さんも元気だったし、親父は…」
そこで一旦言葉を区切り、焦凍は少し考える。
「……あの頃とは変わるんじゃねえかって、今は思ってる」
「…！ そっか！」
嬉しそうに、Aは笑う。
けれど。
「……お前は」
「？」
「……いや…」
「え、なに？」
不思議そうにこちらを見つめる瞳に、浮かない顔の自分が映っている。
(まだ、怖ェのか、なんて)
当たり前だろうと、焦凍は自分が少し嫌になる。
荼毘はAを拉致した張本人だ。目の前で彼女を連れ去られたときの記憶は、焦凍にとっても悪夢だ。まして、拉致されたAは…。
テレビで報道された荼毘の姿に、一瞬周りの声が聞こえないほどに怯えていた。
「……」
「焦凍？」
(──────────ムカつくな)
気に食わない。
Aの心に深い傷をつけた連合が。
Aに恐怖を刻んだ荼毘が…。
(ならいっそ、俺が…)
「ちょ、ま、焦凍っ！」
「………お」
「いや、『お』って…」
焦凍の体の下で慌てていたAは、呆れたようにため息をついて脱力した。
「……まさか無意識ってことはないよね？」
押さえつけられた手首を示すように、Aはグーパーと指を動かす。
口調こそ普通を装っているが、Aの顔は赤い。焦凍は自分を殴りつけたい衝動をおさえ、押し倒していたAを解放した。
「…悪ィ」
「ほんとに無意識だったの…？」
「…」
しゅんとしながら頷く焦凍に、Aはなんとも言えない気持ちになりながらううんと心の中で唸る。
(未だに、焦凍の言動が読めないことがある…)
元々天然ではあるが、今回は少し、様子がおかしかった気がする。
(いきなり怖い顔して…)
押し倒されたことにも驚いたが、いきなり目の色が変わったように見えた。怒っているような、苛立っているような。少し怖いと思ってしまったくらいだ。
「ねえ焦凍、何かあった？」
「…いや」
(…何かあったな)
全く、嘘が下手だ。何だかんだ育ちが良いというか。不器用というか。
無理やり聞くのも気が引ける。が、やはり話してもらえないのは少し寂しい。それに、もしかしたら、と懸念もある。
「……わたしが何かした？」
「！？」
(あ、違うっぽい)
面白いくらい目を見開いてぶんぶん頭をふる焦凍が、申し訳ないが可愛く見えてしまった。
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SangriA(プロフ) - 轟沙季さん» コメントありがとうございます！すごく嬉しいです(>ω<)更新がんばりますのでこれからもよろしくお願いします！ (2019年3月25日 23時) (
レス) id: f00caaebcb (このIDを非表示/違反報告)
轟沙季 - この作品は素晴らしいです！続きも読みたいです！図々しいですが更新よろしくお願いします！ (2019年3月25日 13時) (レス) id: 558a8f9c64 (このIDを非表示/違反報告)
SangriA(プロフ) - アトさん» コメありがとうございます！いつの間にかこんなに長く…でも楽しみにしてもらえてるのすごく嬉しいです。これからもがんばります！ (2019年2月25日 21時) (レス) id: f00caaebcb (このIDを非表示/違反報告)
SangriA(プロフ) - りんさん» コメありがとうございます！いつも読んでもらえて嬉しいです。これからもよろしくお願いします！ (2019年2月25日 21時) (レス) id: f00caaebcb (このIDを非表示/違反報告)
アト(プロフ) - こんなに続いてる神作初めて見ました…！！フェアリーテール楽しみにしてます！！！！ (2019年2月24日 23時) (レス) id: 405929ea37 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：SangriA | 作成日時：2019年1月26日 20時
